China’s Foreign Aid as a Proxy of ODA: Preliminary Estimate 2001-2022
JICA緒方研究所について
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中国は2018年に国家国際発展合作署(China International Development Cooperation Agency: CIDCA)を設立し、外交手段としての対外援助の強化を試み、二国間と多国間両方の対外援助をより積極的に行うようになっています。しかし、中国の白書で公表されているのは対外援助統計の合計のみであり、2019年以降のデータは入手できません。本論文は、経済協力開発機構(Organisation for Economic Co-operation and Development: OECD)が定めた政府開発援助(Official Development Assistance: ODA)の定義とできるだけ整合するように、2001~2022年までの中国の対外援助額を推計することを目的としています。この推計結果によると、贈与相当額計上方式による中国の対外援助額は、2019年の64億米ドルから2020年には50億米ドルに減少しています。中国は、新型コロナウイルス感染症に関する国際協力に多額の資金を動員しましたが、通常の対外援助予算から支出された金額は不明です。そのため本研究では、推定39億米ドルのワクチン接種支援額について、全額を他の資金源から調達したと想定したケース(上位ケース)、全額を通常の対外援助予算でまかなったケース(下位ケース)の2つのケースを設定しました。2022年の中国の対外援助額は、上位ケースで推定79億米ドル、下位ケースで推定50億米ドルとなりました。主なODA供与国と比較した中国の供与額の順位は、上位ケースで6位、下位ケースで13位となります。現在CIDCAは、グローバル開発構想(Global Development Initiative: GDI)のもとで活動を拡大するため、新たな財源を動員しようとしています。中国がどのようにして開発協力の改善を進めていくか、引き続き、総合的に検証していくことが重要です。
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