Barriers to Saving for Retirement: Evidence from a Public Pension Program in Mongolia
JICA緒方研究所について
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多くの開発途上国において、公的年金加入率の向上は重要な政策目標です。モンゴルの公的年金制度は老後所得を生涯にわたって安定化させるという点で魅力的であるにも関わらず、遊牧民をはじめとする任意加入対象者の大半は本年金制度に加入していないという現状があります。
そこで本研究では、人々の年金加入を妨げると考えられる制約を検証すべく、モンゴルの約40%の村落を対象に大規模なランダム化比較試験(Randomized Controlled Trial: RCT)を実施し、行政データと合わせることで分析を行いました。その結果、携帯電話による保険料支払い方法に関する情報や、開発協力機関から年金行政機関への専門家派遣に関する情報を提供すると、保険料支払いが促進されることが明らかになりました。これらの分析結果は、主観的な取引コストや年金制度への信頼が年金需要に影響を与えることを示唆しています。また、開発協力が公的サービスに対する市民の認識を変えることで、政府プログラムへの参加を促進する可能性を示しています。
この論文は「Journal of Political Economy Microeconomics」に採択されたもので、発刊は2025年春を予定しています。
キーワード:ランダム化比較試験、年金、携帯電話、政府開発援助、情報提供、モンゴル
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