Heterogeneous Effects of Horticulture Commercialization and Gender-based Decision-making on Smallholder Farmers’ Income: Evidence From a Quasi-experimental Study in Jimma Zone, Ethiopia
JICA緒方研究所について
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要点:
・農家間で効果に違いがあるものの、商業化を通じたSHEP介入は、園芸所得に正の効果をもたらす。
・農家ごとの園芸所得は、農業協同組合までの距離によって異なる。
・市場志向型の農業普及アプローチは、小規模農家の園芸所得を向上させる。
本論文は、園芸作物栽培の商業化とジェンダーに基づく意思決定が小規模農家の所得に及ぼす異質効果を評価しました。また、エチオピアでのSHEP(Smallholder Horticulture Empowerment and Promotion、小規模園芸農家のエンパワメントおよび販売促進)介入による商業化と共同意思決定への影響も評価しています。本研究では、空間的な農業や市場の特殊性をサンプリング・デザイン中に考慮することでグループ間の差異を最小化し、より比較可能な対照グループの構築を可能にしました。さらに、それぞれの園芸所得層に影響する研修、化学肥料、農薬、農業協同組合への近接性、園芸生産のための土地面積といった重要な社会経済的・制度的要因を分析しています。
本研究の結果は、エチオピアのジンマ地域における園芸農業において、小規模農家の異なる所得層を形作る重要な要因を浮き彫りにし、それぞれの所得層に応じた対策を検討する上で重要な示唆を示しました。一方で、本論文の限界は、今回の分析はプロジェクト終了時のデータに基づいており、SHEP導入前後の変化を評価していないことです。そのため、本研究では、SHEP介入により低所得層が中所得層に移行したといった変化については分析できていません。そのため、今後はパネルデータを用いた分析を行い、プロジェクトの前後でどのような変化があったのかをより正確に評価することが求められます。
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