Construction and Opening Effects of a Large-Scale Bridge Project on Real Estate Prices: Evidence From the Mumbai Trans Harbour Link
JICA緒方研究所について
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大規模な交通インフラ整備は、アクセス性を変化させることにより都市の土地市場を再編する可能性があります。しかし、大規模橋梁プロジェクトの影響については、特に開発途上国において因果関係を示す実証的なエビデンスが依然として十分ではありません。
本論文では、2024年1月に開通したムンバイ・トランス・ハーバー・リンク(Mumbai Trans Harbour Link:MTHL)が、ムンバイ市地区の不動産価格に与えた影響を検証しました。 本研究では、2014~2025年までの固定資産税評価書に基づく区画レベルのパネルデータを用い、橋梁の入口ランプまでの距離に基づく差の差分析を実施しました。その結果、MTHLに近い場所に位置する不動産ほど、橋梁開通後に価格がより大きく上昇したことが分かりました。
また、この結果は、他の主要交通インフラの近隣に位置する区画を分析対象から除外した推計で特に明確に確認され、複数の開発プロジェクトによる影響の重複が結果を左右しているとの懸念を軽減しています。さらに、この分析結果は、アクセス性向上への期待が、橋梁の供用開始前の建設段階から、少なくとも部分的には不動産価格に反映(資本化)され始めていたことを示唆しています。
一方で、より郊外に位置するムンバイ地区の土地区画を分析に含めると、この傾向は確認されなくなりました。このことは、MTHLの効果が距離とともに弱まる可能性を示しています。ただし、市地区と郊外地区では都市構造が異なるため、このようなパターンは単純な線形距離指標では十分に捉えられない可能性があります。
以上の結果から、人口や開発が集中する大都市圏では、大規模な都市交通投資の効果が周辺地域の不動産価値に比較的迅速に反映されることが示されました。また、インフラ整備の効果を評価する際には、地域ごとの空間的な特性を考慮する重要性を示唆しています。