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ポリシー・ペーパー「質の高い成長」の視点から考える新型コロナウイルス感染症に対する強靭性のあり方:医療インフラ投資に関する論考

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外的ショックに対して強靭性を備えることは「質の高い成長」の柱の一つである。本稿では、「質の高い成長」の視点に立ち新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応について、特に軽症感染者・無症状病原体保有者の療養施設のあり方を考察する。特には、強靭性を高めるための要素の一つである「余力」(Redundancy)に着目し、日本の事例を参考に医療インフラの備えについて論じる。費用に制約がなければ、いかようにでも感染症への備えを厚くすることができる。しかし現実には、用意できる資金の大きさや他の目的への配分のバランスという制約がある。その中で利用可能な資金を備えに回すことは、平時には資金が活用されないことを意味することにもなり、少なくとも短期的には成長にはマイナス要因となる。また医療インフラは、経済インフラに比べるとそもそも余力を持ちにくい性格もある。それらの要素を考慮すると、平時には違う目的で使われている施設を、感染拡大時の軽症感染者・無症状病原体保有者の療養施設とすること、つまり施設の多目的利用を進めていくことが望ましい。また仮設の療養施設の建設も有効な対策の一つであるが、そのための準備は災害時の避難所の仮設とも共有されうる。別の面での多目的利用と言える。結論として、「質の高い成長」の視点から見ると、感染症の広がりに応じて、軽症感染者・無症状病原体保有者感染者は、第1 に公共施設、第2 に宿泊施設、特に国営施設、第3 に仮設施設、最後に自宅の利用の順で、段階的な収容を考えていくことが望ましいと提言している。これらを持続的に可能にするような制度の整備が望まれる。

著者
広田 幸紀
発行年月
2020年9月
言語
日本語
ページ
22ページ
開発課題
  • #質の高い成長
研究領域
経済成長と貧困削減
研究プロジェクト