書籍『Micro-evidence for Peacebuilding Theories and Policies』への寄稿

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国内紛争の影響に伴うマイクロエビデンスにより、紛争後の平和構築の理論と政策を考察する書籍『Micro-evidence for Peacebuilding Theories and Policies』(日本大学の窪田悠一准教授による編纂)に、JICA緒方貞子平和開発研究所のルイ・サライヴァ研究員と武藤亜子上席研究員(いずれも当時)が寄稿しました。

サライヴァ研究員による「Micro-evidence from Participatory Conflict Analysis: Toward Context-Specific Adaptive Peacebuilding in Mozambique」の章は、モザンビークにおける平和構築の過程を分析しています。一時期は成功モデルとみなされていた同国ですが、その後、小規模な紛争が再発し、北部カボデルガド州では過激派による内乱が発生しました。サライヴァ研究員は紛争再発と内乱は、今も残る不満に対処し、国の安定を達成するために追加的措置が必要であることを浮き彫りしたと指摘しています。この章は、参加型の紛争分析など、適応的平和構築のアプローチから派生した手法がより柔軟かつ実利的で、文脈に則した対応につながると論じています。紛争分析は外部から進められることが多いものの、紛争の複雑性に対処し、文脈に適した手法を提供する点では参加型アプローチに強みがあります。さらに、参加型紛争分析で得られるマイクロエビデンスにより、地元、全国、国際社会の平和構築者がモザンビークの平和維持に有効な手法を編み出すことが可能になると論じています。

武藤上席研究員が窪田准教授と共著した結論の章では、導き出された実証分析から、現地住民の自己評価が平和構築の過程や成果にとって重要であることを示唆すると指摘。肯定的な自己評価は、平和構築を継続するインセンティブを現地住民に与えると強調しました。また、集団的行動を促進することで、現地機関が地域社会の平和を持続させる可能性があると論じ、これは、現実に即し、かつ政策策定にも資する実践であると提唱しています。さらに、相互理解や相互作用を醸成することが、平和構築活動の設計・実施の改善に必要だと指摘しました。

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著者
ルイ サライヴァ武藤 亜子
発行年月
2022年12月
出版社
Springer Singapore
言語
英語
ページ
120ページ
関連地域
  • #アフリカ
  • #中東
開発課題
  • #平和構築
研究領域
平和構築と人道支援
研究プロジェクト