The Gendered Impact of Rural Road Improvement on Schooling Decisions and Youth Employment in Morocco

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本論文では、モロッコでの地方道路整備プロジェクトが就学の意志決定や若年層の雇用に及ぼす影響を考察しました。地方道路の舗装整備には、交通手段の選択肢を増やすことで通学にかかる時間と費用を減らし、進学先の選択肢を増やすことや、若者の進学意欲を高めることが期待されます。その一方、道路整備によって新たな交通ルートができることで即座に収入を得る機会が生まれるため、若者に進学ではなく賃金雇用を促す可能性もあります。

こうした事情から、地方道路の整備が就学と若年層の雇用に及ぼす影響について、実証的な調査が必要です。そこで疑似実験的状況で収集された世帯単位のデータセットを用い、差分の差法による推計を実施しました。その結果として、第一に、初等教育の修了率を高める効果は男女ともに見られなかったものの、女子の中等教育以上への進学率は有意に高まりました。また、女子の進学率の上昇は、早婚率の低下と相関していました。第二に、自営労働への有意な影響は男女ともに見られなかったものの、男子の賃金雇用の就労率は有意に高まりました。また、この傾向は、より高度な教育を受けた男子の間で顕著でした。

これらの結果から、地方道路整備プロジェクトの効果が男女において明確に異なり、女子はより良い教育、男子は賃金労働への意欲を高めることが分かりました。

著者
島村 靖治、 清水谷 諭、 山田 英嗣、 山田 浩之
発行年月
2022年11月
言語
英語
ページ
17
関連地域
  • #アフリカ
開発課題
  • #ジェンダーと開発
  • #運輸交通
  • #貧困層支援・格差是正
研究領域
経済成長と貧困削減
研究プロジェクト