Can Vaccination Incentives Backfire? Experimental Evidence That Offering Cash Incentives Can Reduce Vaccination Intentions in Some Contexts

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本論文では、タジキスタン、ウズベキスタン、カザフスタンの3ヵ国で個別に実施したランダム化比較試験の結果を用いて、金銭的なインセンティブの提示がワクチン接種の意向に及ぼす効果を検証しています。全国を代表する回答者群を、一切のインセンティブを提示しない比較群と、仮定的な金銭的インセンティブの支払額に差を付けた複数の処置群に無作為に割り当てて調査を実施しました。

3ヵ国での調査結果を総合すると、全般的なワクチン接種の意志は、インセンティブの提示によって低下する傾向が見られました。他方で、国別の調査結果には幅があり、タジキスタンではワクチン接種の意向に対して有意な効果がない一方、ウズベキスタンとカザフスタンでは最大22パーセントの減少が確認されました。

また、フォローアップの質問に対して、ワクチン接種に対する金銭的なインセンティブの提示に賛同しないという回答者が過半数を占め、特に強いネガティブな効果があった国において反発が大きいことがわかりました。通常ではワクチン接種行動の誘因として金銭的なインセンティブの有効性が十分に確認されており、本調査結果はこうした先行研究と対照的になりました。しかし、インセンティブの支払いが、かえって施策の劣悪さや効果が無いことをシグナリングしてしまう場合があるとする行動学的な研究の結果とは整合します。

一連の結果により、効果が確かめられていない状況下でのワクチン接種などの医療介入では、外的なインセンティブを検討する際、政策立案者や実務家に慎重さが求められることが示されました。

著者
Seitz William Hutchins、 清水谷　諭、 山田　英嗣
発行年月
2023年3月
言語
英語
ページ
23
関連地域
  • #アジア
開発課題
  • #保健医療
研究領域
経済成長と貧困削減
研究プロジェクト

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