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『みんなでつなぐ子どもの未来―アフリカ「みんなの学校プロジェクト」の進化と広がり』

  • #プロジェクト・ヒストリー

アフリカ諸国の80%以上の生徒が、読み書き・計算能力を習得できず、学校を去る──これが、アフリカが直面する現実です。この「学習の危機」の克服に向けて、日本の国際協力は、どう貢献できるのか?その問いに対する実践的な答えの一つこそ、JICAが2004年に西アフリカのニジェールで立ち上げた「みんなの学校プロジェクト」です。

この取り組みは、単なる学校建設や教材配布という支援ではなく、教員、保護者、地域住民、行政が協力して学校を運営し、仮設教室の建設、教室や椅子などの修繕、就学促進のための啓発活動など、子どもたちの学びを自ら支える仕組みづくりから始まりました。そして、住民や教員が主体となって教育の“質”の改善に取り組み始め、補習や夜間学習の実施などを通して、子どもたちの学力は改善していきました。

本書では、住民主体の教育改善というコンセプトがどのように生まれ、どのように具現化されていったのか、ニジェールでの「みんなの学校」プロジェクト誕生の背景から、地域住民と取り組んだ学力改善モデルの開発と普及について紹介しています。そして現在、同プロジェクトは、セネガル、マリ、ブルキナファソ、コートジボワール、マダガスカル、ガーナ、ジブチ、エチオピア、マラウイ、ベナンの11ヵ国75,000校にまで拡大しています。歴史や文化、政治情勢、教育環境が異なる国でどのように取り組みを進めたのか、セネガル、マリ、マラウイで活動したJICA専門家の視点から、クーデターに翻弄された緊迫した現地での様子、同志となったカウンターパートとのやりとり、国際協力への想いなども含め、臨場感あふれるストーリーが描かれています。さらに、まだ解決には遠い「学習の危機」にどのように挑んでいくのか、今後の展望についても紹介されています。

「教育は、子どもたちの未来を切り開く力であると同時に、社会を変える力」だと、同プロジェクトの立ち上げから現在までチーフアドバイザーを務める同書の著者、原雅裕氏は語ります。貧困、高い人口増加率、厳しい自然環境といった不利な環境の中で「学習の危機」にさらされているアフリカ諸国の生徒、教員、保護者、地域の人々は、ぜい弱な立場だと見なされがちです。プロジェクト開始当初、成人識字率が30%だったニジェールでも、「地域住民の力で子どもの学力を改善するのは無理だろう」という先入観がありました。しかし、「子どもたちに、より良い未来を」という揺るぎない想いを胸に、住民と教員が潜在的に持っている能力を発揮し、協働すれば、不利な状況を逆転して現場での教育改善の主体になれる―。「みんなの学校プロジェクト」は、力強くそう教えてくれています。

本書は、プロジェクト・ヒストリー・シリーズ第3弾『西アフリカの教育を変えた日本発の技術協力―ニジェールで花開いた「みんなの学校プロジェクト」の歩み 』の続編です。本書単体でも、プロジェクト全体を俯瞰できる読み応えのある1冊です。

著者
原 雅裕、 影山 晃子、 丸山 隆央、 國枝 信宏、 岩田 守雄、 南 真由
発行年月
2026年2月
出版社
佐伯コミュニケーションズ
言語
日本語
ページ
218
関連地域
  • #アフリカ
開発課題
  • #教育
ISBN
978-4-910089-73-7