jica 独立行政法人 国際協力機構 jica 独立行政法人 国際協力機構

No.229 What Determines the Time Efficiency of the Purchasing Phase of Public Procurement in Developing Countries: Evidence from Japanese ODA Loans

  • #ワーキングペーパー

政府は、公共調達という行為を通じて、インフラや施設を整備し、市民に行政サービスを提供する。市民になるべく良い行政サービスを提供できるように、質の高いインフラを調達することはもとより、価格面また時間面において、それらを効率的に調達することが求められる。本研究では、我が国の円借款事業に焦点をあて、公共調達の時間面の効率性について検証を行う。具体的には、2007年から2017年の間に、52の開発途上国で1,235回行われた調達のデータを用いて、調達の時間的効率性に影響を与える要因を検証する。コンサルティング・サービスの調達における時間的効率性は、国のガバナンスの質、実施機関の経験度と正の関係があること、また、中央政府による調達のほうが、地方政府による調達よりも時間的に効率的であることも確認された。土木工事等の調達における時間的効率性については、契約金額と負の関係があることが明らかにされた。国のガバナンスや実施機関の経験度によって、時間的効率性が損なわれる余地の大きいコンサルティング・サービスの調達については、JICAのような開発援助機関はより重点的に支援することが求められることが示唆された。一方、事業コンサルタントが支援を行っている土木工事等の調達については、開発援助機関による支援の必要性は認められなかった。その代わり、契約を細分化し、一つ一つの契約の規模を小さくすることによって調達を効率化できる可能性はあるものの、それによる負の影響――関係者が増えることによる調整コスト増など――も勘案する必要があるため、政策的インプリケーションの導出には、より包括的な、事業実施時の効率性も包含した検証が求められる。

キーワード: 公共調達、調達効率性、時間的効率性、円借款

著者
桂井 太郎、 佐々木 大輔、 藤倉 良
発行年月
2022年3月
言語
英語
開発課題
  • #経済政策
  • #日本の開発協力
  • #インフラ
研究領域
経済成長と貧困削減