No.224 Impact of Interest Rate Cap Policies on the Lending Behavior of Microfinance Institutions: Evidence from Millions of Observations in the Credit Registry Database
JICA緒方研究所について
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カンボジアでは、2017年4月にマイクロファイナンス機関(MFI)の貸出に上限金利政策が新たに実施された。政策実施前は貸出金利の制限はなく、MFIの多くは18%以上で貸出を行っていた。そのため、この金利キャップ政策によってMFIのアウトリーチに悪影響が出ることが懸念される。
本稿では、カンボジアの信用情報局のデータベースにある詳細な金融機関の貸出データを利用して、上限金利規制がMFIに与える影響を調査した。分析では、2016年1月から2019年3月までの期間に貸出が行われた、商業銀行、専門銀行、マイクロファイナンス機関を含むすべての金融機関の6,897,168件の個人ローンの情報を使用した。その結果、マイクロファイナンス機関にとって小口融資や無担保融資は一般的に融資コストが高いことから、マイクロファイナンス機関に金利キャップ政策が導入された後、1件あたりの平均融資額と担保を要求する確率がともに有意に上がることがわかった。さらに、上限金利規制導入前の小口ローンの借り手は、規制導入後はフォーマルな金融市場から排除される確率が高いことがわかった。これらの結果は、上限金利規制が金融システムのアウトリーチに影響を与えていたことを示唆している。
キーワード: 上限金利規制、マイクロファイナンス、カンボジア、規制、銀行貸出
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