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開発途上国における気候変動適応策と緩和策の研究

本研究は適応策の研究と緩和策の研究の2つの部分からなっています。適応策の研究は、アジア・アフリカ諸国が気候変動によって受ける諸影響を予測し、地域社会がこれらに適応するための方策と、それに対する先進国や国際機関による支援の方向性を提示することを目的としました。その際、JICAと東京大学が協力して行ったタイのチャオプラヤ川流域の影響評価および適応策に関する研究、アフリカにおいて欧米の研究機関が実施している適応策に関する研究や当研究所で実施中のアジアの大都市への影響の研究等の成果を取り入れました。緩和策に関する研究としては、国立環境研究所が行ったアジア地域の低炭素化に関する研究の成果に基づいて、低炭素化政策実施に当たっての課題を抽出しました。

研究結果を踏まえ、以下の3つの政策提言を行いました。第一に、政策決定者や農民など利害関係者が必要とする気候予測をおこなうために、予測の基礎となる過去の気象データの収集とデジタル化、気候モデルの解析等に関わる技術者の養成、予測結果を利害関係者に理解できる言葉で説明する政策専門家の養成を早急に進めるべきであること。第二に、気候変動適応策を優先的に実施すべき地域や社会集団を特定する「脆弱性評価」を、早急かつ広範に進めるべきであること。第三に、過去の開発プロジェクトを「適応」の観点から再評価し、その経験と教訓を蓄積すると同時に、適応策の主流化を進めるべく、既存及び新規の開発政策・計画・プロジェクトに「適応」の観点を組み込む体制と能力を構築すべきであること。詳細は2冊の英文書籍を含む研究成果一覧をご参照ください。