実施中プロジェクト
冷戦が終結して以降、平和構築に関する取り組みは、紛争への対応や政治的移行、ガバナンス改革、社会経済的な復興の推進と、紛争を経験した社会における暴力の再発防止の支援において、中心的な役割を果たしてきました。しかし、国際政治や世界的な安全保障情勢をめぐる状況は急速に変化しています。そのような中、国連や、国際機関・各国政府・NGOなどのパートナー機関と国際的な援助機関による平和構築に向けた関与は、任務の範囲や財政支援、そして利用可能な資源の減少とともに、大幅に低下してきました。その結果、これらの国際的なアクターは、かつて担っていたような平和構築プロセスの形成における中心的役割を果たせずにいます。
既存の政策や研究は、平和構築の介入がどのように設計され、段階的に進められ、実施されるかについて有益な知見を生み出してきました。しかし、こうした研究の多くは、国際的な関与が活発な時期に焦点を当てており、関与が縮小または終了した後の展開については注目されていません。とりわけ、国連などによる平和構築ミッションの撤退や、国際的な平和構築への関与が低下する中で、平和がどのように維持、もしくは衰退や再編、分断されるかについては、ほとんど検証されていません。
本研究は、まだ検証されていない研究の空白を埋めるべく、国際的な平和構築の取り組みが中心的役割を失った後に、どのように制度、慣行、関係性が持続し、再編され、あるいは分断されるのかを研究します。この研究では、このような現状を「平和構築が残すもの(afterlives of peacebuilding)」と捉え、持続(persistence)、再編(reorganization)、断片化(fragmentation)という3つの分析的な観点を軸に、紛争後の社会を対象に検証します。また、質的かつ事例研究のアプローチを用いることで、時間の経過とともに展開する地域・国家・国際的なアクター間の相互作用を捉える多層的な視点を採用しています。その結果、本研究は平和構築を固定的な制度的成果としてではなく、既存の制度と、平和構築の取り組みを通じて生み出された仕組みに加え、それらの要素を組み合わせたハイブリッドな枠組みの相互作用によって形成される、進化し続ける社会的なプロセスとして捉えます。
国連の「持続可能な平和(Sustaining Peace)」アジェンダや、適応的平和構築(adaptive peacebuilding)を含む関連するアプローチに基づき、本研究では国際的な平和構築に関する関与が活発な時期を超えた後においても、地域に根差した持続可能な平和構築を支援するための政策や関与戦略が、いかにしてより効果的に支援できるかを浮き彫りにすることで、開発協力に向けた実践的な知見の提供に貢献することを目指します。
- 研究領域
- 平和構築と人道支援
- 研究期間
- 2026年05月14日 から 2029年03月31日
- 主査
- マリアム アルクバチ、 武藤 亜子、 Cedric de Coning
- 関連地域
-
- 開発課題
-