実施中プロジェクト
本研究プロジェクトは、近年とりわけ開発研究において理論的・実証的関心が高まっている「ステート・キャパシティ(State Capacity)」概念を研究の中心に据え、経済社会の発展を支える国家の能力の役割とその具体的形態について、バングラデシュを事例とした実証研究を通して検証します。
ステート・キャパシティとは、一般に、政府が自国の領域全体において政策を有効に実施する能力を指し、徴税、法の執行、公共財供給などの能力がこれに含まれます。本研究では、中央政府における行政政策の立案から、末端の住民に対する政策実施(行政サービスの提供)、さらに政策の評価および再検討に至るまでの行政過程全体を分析対象として位置付けます。
バングラデシュは2000年代以降、安定的な経済成長を遂げ、2010年代半ばには低中所得国へと移行しました。他方で、同国のガバナンスをめぐる課題については、複数の国際的なガバナンス指標が示すとおり、2000年代以降、大きな改善が見られていません。同国が今後も持続的な経済成長と社会開発を続けるためには、堅実なマクロ経済政策の実施、産業構造の多角化、都市機能の強化など、多くの課題への適切な対応が求められ、これらを下支えする行政政策の立案および実施能力の強化が課題となっています。
このような背景の下、本研究プロジェクトでは、バングラデシュの行政制度および行政過程、人材、行政サービス提供に焦点を当てた事例研究を行います。地方レベル(郡およびユニオン)における行政サービスを対象としたフィールド調査と事例研究を通じて、開発経済学、行政学、公共政策学、法社会学などの学際的視点から考察します。本研究プロジェクトを通じて、開発途上国におけるステート・キャパシティ向上に資する行政の在り方について、政策的示唆を得ることを目指します。
主査:
荒井真希子
(JICA緒方研究所)
リサーチ・アドバイザー:
Niaz Asadullah
(Department of Economics, University of Dhaka, Bangladesh)
共同研究者:
Mohammad Malek
(宮崎国際大学)
山田英嗣
(JICA緒方研究所)
黒神みなみ(JICA)
研究連携機関:
Bangladesh Public Administration Training Centre
(BPATC)
Bangladesh Institute of Governance and Management
(BIGM)