ビジネスだからこそできる持続可能な支援-コーヒー豆で夢を実現-(第3回)

COYOTE バイヤー
門川 雄輔(かどかわ ゆうすけ)

【画像】JICA海外協力隊2018年度2次隊
任国:エルサルバドル
職種:マーケティング

全4回でお届けするロングインタビューの今回は第3回です。

2020年3月、コロナ禍での突然の一時帰国

(左から山内、畑中、門川さん)

(以下敬称略)

江川:活動の話をたくさん聞かせていただきましたけど、門川さんの活動が順調に進む中、新型コロナウイルス感染症が拡大して、JICA海外協力隊は全員一時帰国するということが決まりました。エルサルバドル隊員の帰国も2020年3月ですか。

門川:3月末ですね。

江川:2020年の3月末に一時帰国されることになったということですが、一年半ほどエルサルバドルにいらっしゃって、急に帰国になったのでしょうか。どのような帰国スケジュールだったんでしょうか。

門川:世間のニュースのタイミングと同じくらいのタイミングでした。事前にとかはあまりなくて。エルサルバドルに関しては、JICAが帰国してくださいと言う前からロックダウンが始まっていたので、だから空港も閉まっていたんですよ。感染者ゼロの段階から早めにロックダウンが始まっていたので、僕らはいったん首都に避難して、帰ることは決まったけどいつ出国できるかは分からないという状態が1~2週間くらい続きました。

畑中:空港は開いたんですか。

門川:開きました。大使館の人たちが色々と対応してくださって、関係者だけ乗れるように手配してくれて。

江川:エルサルバドルの首都に足止めされていた時に、任地の方々とはどういうやり取りをされていたんですか。

門川:首都にいるラボ(研究所)のスタッフに毎朝、隊員連絡所まで迎えに来てもらって、日中はラボで過ごして、ギリギリまで仕事していました。みんなが隊員連絡所にいる中、僕だけ結構ギリギリまで仕事していました。任地である田舎の農園のスタッフとはメールでやり取りしかできなかったですけど、同僚とか首都のスタッフとは会えていましたし、ちょうど3月末って収穫が終わってサンプルも出てきて「さあ売るぞ」っていうタイミングなんですよ。バイヤーが来たり、品評会が控えていて、たくさんサンプルが出てくるからそれを飲まないといけないので、とにかくギリギリまで働いて帰るしかなくて、別れの言葉も全然言えていないままですね。

江川:そんな中で門川さんが帰られて、皆さん寂しかったでしょうし、門川さんももちろんそうだったと思いますが。

門川:当時は3か月くらいでエルサルバドルに帰ってこられると皆思っていたので、そこまで悲観的ではなかったですけど、こんなことになるとは思っていなかったですよね。

エルサルバドルに再赴任したらやりたいこと

江川:門川さんは日本に一時帰国されて、今は特別登録されているので、隊員の任期があと半年残されている訳ですよね。今後またエルサルバドルへの渡航が再開されて、隊員派遣が可能となりましたらどうされますか。

門川:それは行きますよ。あとはコミュニティの課題が結構多くて、例えば乾季に水が足りなくなるとか、学校に行けない子どもが多いのですが、そういう課題はJICAの枠組みじゃないとできないことなので、取り組みたいと思っています。

畑中:コーヒーとは関係がなくコミュニティの質向上をするということでしょうか。

門川:そのコミュニティの人たちがコーヒー農園で働いていたりすることが多いので、関係はありますね。

畑中:学校に行けない子たちというのも農園に関わりがあったりするんですか。

門川:ありますね。そこの整備がちゃんとされていないというのか、学校も午前中で終わったりするので、午後が暇みたいなこともあるし、そういうのは国としての課題だったりするので、何かやりたいなとは思っていますね。

若い子たちが親の農園を継がずに首都に出て働いたら結局その農園は放ったらかしになるじゃないですか。地方でも日本で売れるぐらいのすごいものを作っていると分からせてあげないと、コーヒー作りを辞めちゃうじゃないですか。農地を持っている人はいいんですけど、農地も持たずに日雇いみたいな形で農園で働いている人たちって、しんどい割にオーナーじゃないから儲からない。首都へ行ってファーストフード店で働いた方がいいやんってなるかもしれない。

でもひとつでもきちっとした農園があって、周りのコミュニティを考えて、人を雇ったりとか、仕事を作るということをすると、地域のコミュニティとして回るじゃないですか。それを同僚は今の生産者組合でやりたいと言っているので、その辺はどんな課題があるかや、何を援助してあげれば良いかを考えたいですね。ただ僕らがコーヒーを買って売るだけじゃできないから、そこは関わっていきたいですね。

山内:それはすごく良いですよね。門川さんの任期はあと半年ありますけど、その次の隊員がまた入るという可能性もあると思いますので、ぜひ繋げていただけたらと思います。

(第4回に続く)