ビジネスだからこそできる持続可能な支援-コーヒー豆で夢を実現-(第4回)

COYOTE バイヤー
門川 雄輔(かどかわ ゆうすけ)

【画像】JICA海外協力隊2018年度2次隊
任国:エルサルバドル
職種:マーケティング

全4回でお届けするロングインタビューの今回は第4回(最終話)です。

一時帰国中、京都で起業の第一歩

生産者のサイン入り瓶詰コーヒー。
撮影者:吉永 鉄さん

(以下敬称略)

江川:一時帰国されてから、京都にありますImpact Hub Kyotoのコワーキングスペースを使って、最初はコーヒー豆を売っていらっしゃったそうですが、それはどのようなきっかけがあったんでしょうか。

門川:NPO法人のグローカルセンターというところがあるんですが、そこは僕の大学の先生が創設者で今は僕の先輩が代表者をしているんですね。とあるきっかけがあってその先輩に相談したら、こういう場所があるよと教えてくれました。

山内:そのImpact Hub Kyotoでいつからオフィスを構えられたんですか。

門川:去年の8月からです。

山内:そこで店舗を持っていらっしゃったんですか。

門川:豆売りの店を一応2020年10月から始めていましたね。豆売りは週2日だけして、あとはオフィスとして使っていました。Impact Hub Kyotoをネット販売の発送拠点として使いながら、イベントに出たりとか、卸の打ち合わせしたりとか、たまに一般の方が来られたりできるように豆売りを週に2回していました。

江川:その時にお客さんの反応とかが初めて届いたような感じですか。それまでエルサルバドルにいたときは日本のお客さんに届けるというところまではされていなかった?

門川:焙煎豆を売ったのはそこが初めてだったんですけど、これまでエルサルバドルのチャラテナンゴという地域が少しずつ知られているなというのはあったものの、消費者の方にコーヒーが作られるまでの生産者のストーリーが伝わったのは初めてでした。生産者の話をちゃんとする機会はあまりなかったから、確かにすごく熱心に聞いてもらえましたね。

江川:生産者の話を聞けるなんて滅多にないですからね。

門川:なんか面白い空間で、そこは飲食店じゃなかったので豆売りしかしていなかったんですけど、その時に生産者のストーリーを伝えられるように試飲してもらって、誰がどんなふうに豆を作っているかを話してから、気に入った豆を買ってもらう。味だけじゃなくて人となりを分かった上でどれを選ぶかみたいな感じだから、向こうの風景をちょっとでも伝えられたのは良かったかなと思います。

コロナ禍の中、再びコーヒー屋さんへ

左から門川さん、(一人おいて)江川、山内

江川:残り半年、そういう中で帰ってきて、思っていたよりは早い段階でのお店の立ち上げになったんでしょうか。

門川:早いです。全然ついていけてないです(笑)。場所が決まって慌ただしく準備して、何とか2021年7月から始めたというような感じです。

江川:ここまですごくポジティブなお話を聞いてきたのでこんなことを聞くのは失礼かもしれないんですけど、コロナ禍での時期のお店の立ち上げで、不安みたいなものはありますか。

門川:それはもちろんありますよ。早い時間にみんな店が閉まるとか、そもそも出勤しないとか不安はありますけど、今が底だと思ったら、後は上がるしかないじゃないですか。良い時を知っていて落ちるよりはずっとましかなと思っていますね。

山内:これから上がるしかないですね。

畑中:すごくドラマチックで本になりそうです。

門川:本にしてください(笑)。お願いします。

これから実現したいこと

バリスタの寺田さん(左)とバイヤーの門川さん(右)
写真撮影:吉永 鉄さん

山内:今後実現したいこととかはありますか。

門川:僕らは今、彼らからコーヒーを買って売ることしかできていないので、まだ向こうの人たちのために何にもできていないんで、それは嫌ですね。僕らがエルサルバドルのコーヒー豆だけを扱っていて、生産者たちと直接取引をして売っていることで何か彼らの暮らしが変わっているというところまでを日本人やコーヒーに関わる全ての人に見せないといけないと思っています。

僕は向こうにいられないから今はそういう風景を日本の人たちに見せられないので、課題についても現状を良く分かっていないし、僕らもまだまだちゃんとコーヒー屋さんとして回っていないから、そこを早く実現したいなとは思っていますね。

江川:そういうきっかけはビジネスを通してというか、そういう部分もありながらですが、これまでのお話を聞いていると、最終的には生産者さんに還元したいというのをイメージされているのでしょうか。

門川:そうですね。もうコーヒー辞めるわと言われたら終わりじゃないですか。「こんなもの誰も買わないしトマト作ってスーパーで働いていた方がいいやん」てなったら終わりだし。僕はコーヒーが好きですし、コーヒーが無くなって欲しくないという想いはずっと変わらずありますね。

江川:今日は長い時間ありがとうございました。すごく楽しくて、貴重なお話をたくさん聞けました。またぜひお店に来させてください。