長期研修員「先輩に聞く、日本での就労経験」を実施しました

2020年4月7日

2020年2月27日(木)・28日(金)に関西地域の大学院で学ぶ、JICA長期研修員(留学生)を対象にした地域理解プログラム「関西企業の発展から学ぶ」の実施と併せて、この機会にプログラム終了後に日本企業に就職した先輩研修員と、就職先の採用担当者にお越しいただき、日本での就職について座談会を行いました。参加した14人の研修員は、ABEイニシアティブコース、イノベーティブアジアコース、シリア平和への架け橋・人材育成プログラムコースから集まりました。

ここが違う!日本の就職事情

イムランさん(右)とイモンさん(左)からお話を伺う

モロッコ出身のイムランさん(ABEイニシアティブコ—ス*・2016年来日)は2019年4月にJICA長期研修ABEイニシアティブプログラムを修了した後、神戸のIT企業情報セキュリティ株式会社(以降、ISEC)でITエンジニアとして働いています。
イムランさんのお話しは、『孫子』の作者で知られる中国古代武将・孫武の格言「Every battle is won before it is fought.(戦わずして勝つ)」から始まりました。元々、日本の歴史、マンガ、アニメが好きだったそうですが、日本に来てから日本語を本格的に勉強し始めたとのこと。高い日本語能力と日本文化への興味・理解がISEC社長から高く評価され、就職につながりました。就職活動という戦いに勝つために、イムランさんは以下のような準備が必要だと教えてくれました。

・就職活動前には自己分析を行い自分の強み、弱みを理解すること
・日本社会において必要とされる最低限のマナーを理解すること。
・日本語の習得は必要。上手に話せなくても、取り組んでいる姿勢・興味を示すことが大事。
・日本または自国で就職をする・研究活動を続けるなどいずれの進路を選んだとしても、自身の確固とした意思と動機が重要である。

特に日本語の習得には多くの研修員が悩んでおり、学習方法や会話練習の場所など様々な質問が出ました。現在ISECで外国人材採用の担当をされているイモンさん(オーストラリア出身)もイムランさんと同様に海外から日本に来て語学を学ばれました。「自分の好きなこと、興味のあることを入口にして始めればいい。映画が好きならセリフを覚えてみる。食べることが好きならメニューを読んでみるなど」とアドバイスがありました。イムランさんも、好きな日本のアニメ映画を繰り返し見たそうです。日本各地を旅行してまわったイムランさんは「自身の興味・関心を広げるために、色んな人と出会い、会話を大切にしてほしい」と話され、自分の好きな分野から興味を持ち、モチベーションを維持することが大切だという力強いメッセージを受け、参加した14名の研修員たちは励まされたようです。

この他、現役長期研修員が直面している、日本の大学院で研究を続けるか、日本の就職活動について、または帰国して働くか、進路の悩みについて質問が飛び出しました。また、日頃の不安や疑問を相談できる大変良い機会となりました。

本件にご協力いただきました、イムランさん、イモンさん、ありがとうございました。

参加した研修員のコメント

・日本での就職活動について考慮すべき多くのアイデアを得た
・就職活動の要件について大変よく理解できた。
・日本のマナーと伝統を知ることが必要だと感じた。
・日本企業への就職だけでなく、将来の日本企業と自国の企業の事業参入についての可能性を考えることができた。

*JICAの「ABEイニシアティブ」では、優秀で熱意に満ち溢れたアフリカの若手産業人材に、日本の大学院での研究に加え、日本企業でのインターンシップ(実習)の機会を提供しています。ABEイニシアティブ留学生は、日本の高度技術や職場での働き方に対する理解を深め、アフリカ諸国に帰国後、現地に進出したい日本企業にとっての「水先案内人」となることが期待されています。
このほか東南アジアを対象としたInnovative Asiaコースや、シリアを対象にしたシリア平和への架け橋・人材育成プログラムでも、日本の大学院での修士・博士課程での研究に加え、日本企業インターンシップの機会を提供する長期研修事業を行っております。