マダガスカルで実施中(または実施済)の代表的なプロジェクトの概要は以下の通りです。
(※技:技術協力プロジェクト、有:有償資金協力、無:無償資金協力、開:開発計画調査型技術協力、個:個別専門家派遣、調:協力準備調査、協:協力隊派遣、他:その他スキーム)
PAPRIZプロジェクトの支援を受けた農家による田植え風景
マダガスカルの人口の約80%が農村部の住民で、農村部の貧困率は82.2%にも上っており(都市部貧困率は54.2%)、多くの農民が貧困層に属しています。JICAは農村部の生活向上に貢献するため、マダガスカルの主食であるコメの生産性の改善を実施しており、CARD(アフリカ稲作イニシアティブ)に沿った支援を行っています。また、植林や内水面養殖の普及などによる収入の多様化、協力隊派遣及び帰国研修員による生活改善アプローチの普及や栄養改善の取り組みを行う等、農業・農村開発分野を重点分野として位置づけ、各種事業を実施しています。
マダガスカルの最大商港・トアマシナ港
マダガスカルは、豊かな自然に恵まれた世界で4番目に大きな島で、国土面積は日本の1.6倍ほどです。他方、大きな国土をつなぐ道路インフラや、その他地域からのエントリーポイントとなる港湾インフラ等、経済インフラの整備や急速な都市化に対応するための都市開発が急務となっています。
無償資金協力で建設された小学校とそこに通う児童
マダガスカルの教育関連指標は、過去十年間で改善されつつあるものの、成人識字率は依然として低いままであり、多くの国民が十分な教育を受けていないという状況にあります。JICAは、これまで約700校に及ぶ小学校建設を実施しており、今後は教育へのアクセスと質の向上の両面から協力を展開していくこととしています。
JICAが技術協力や機材供与を実施したマジュンガ大学総合病院センター
マダガスカルの保健指標は、妊産婦死亡率が440(出生10万対)、5歳未満児栄養失調率が47%(いずれもMDGs Indicators 2013)であり、加えて、結核などの感染率が高く、世界の中でも深刻な状況にあります。JICAは、エイズ予防対策や母子保健サービスの改善に関するプロジェクトをこれまで実施してきました。また、協力隊派遣を中心とした栄養改善指導や保健医療施設での5S普及によるマネジメントの改善を通じて、マダガスカルの保健医療へのアクセスと質の向上に取り組んでいます。
無償資金協力で作られた井戸を使う地元住民
マダガスカルでは、安全な水へのアクセス率は都市部では78%に上るものの、農村部では35%(いずれもUNICEF、2015年)に留まっており、地域間格差が生じています。また、不衛生な飲料水が原因とみられる下痢の症状等も確認されています。そうした状況下、JICAは、無償資金協力による給水施設(深井戸)の建設と、技術協力による給水施設維持管理能力の強化に取り組み、安全な水へのアクセス確保に向けた事業を実施してきました。