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カガヤン・デ・オロ市の洪水予警報が地域の安全と未来を守る

#11 住み続けられるまちづくりを
SDGs
#13 気候変動に具体的な対策を
SDGs

2025.05.09

2025年4月4日、フィリピンのカガヤン・デ・オロ市で新しい洪水予警報システムの運用が始まりました。このシステムは、洪水による被害から人々の命や生活、財産を守ることを目的に、JICAとフィリピン気象天文庁(PAGASA)が共同で実施した「カガヤン・デ・オロ川流域洪水予警報システム改善計画」(以下、「本事業」)にて整備されました。カガヤン・デ・オロ市とその周辺には日系企業も進出しており、私たち日本人とも繋がりのある地域です。

頻発する洪水と新たな予警報システムの必要性

カガヤン・デ・オロ川流域はフィリピン最大級の流域規模を持ち、周辺住民の生活を支えています。しかし、モンスーンの季節には洪水が頻発し、低地に住む人々は大きな被害を受けてきました。フィリピン環境天然資源省(DENR)の調査では、市内80の村のうち61の村が洪水の危険に晒されているとされています。実際に、2011年の台風センドンでは、近隣地域も含め被災者約117 万人、死者約1,250 人という甚大な被害が発生し、迅速な避難や正確な予測システムの必要性が浮き彫りになりました。加えて、気候変動の影響による気象パターンの変化により、従来のシステムでは気象状況の正確な評価が困難になりつつありました。

市街地を流れるカガヤン・デ・オロ川

新たな予警報システムの整備に向けて

そのような状況において、新たな洪水予警報システムの整備は地域住民の命を守る砦として期待されていました。2018年から開始された本事業において、JICAは主に次の協力を実施しました:

整備された高性能レーダー

整備された水位・雨量観測装置

整備された雨量観測装置(左側の白の円柱物。太陽光パネルも本事業にて整備)

整備された洪水予警報センターの様子

本事業にかけた関係者の想い

上記取組を完了し、迎えた4月4日の運用開始式典にて、PAGASAを所掌するソリダム科学技術大臣は「本システムの運用により、自然災害から人々とその生活を守るという目標を実現できるようになる。」と述べました。JICAからは「洪水予警報情報の効果が発揮されるためには、市民が災害リスクを十分に理解すること、またPAGASAからの避難指示に基づいて避難の必要性を認識することが重要。コミュニティと手を携えながら、このシステムが今後何年にもわたってカガヤン・デ・オロ市の人々に役立つことを願っている。」という想いが伝えられました。

左から:セルバンドPAGASA長官、ソリダム科学技術大臣、遠藤在フィリピン日本国大使、森島JICAフィリピン事務所次長

災害避難における「時間を稼ぐ」重要性:洪水予警報システムで命・生活・財産、そして地域の未来を守る

災害避難時に重要なことの一つは、「時間を稼ぐ」ことです。本システムの稼働により、従来よりも早く洪水の危険を察知できるため、住民は余裕を持って避難することが可能になります。特に、高齢者や障害のある方にとって、時間の確保は命を守ることにつながります。また、洪水の早期察知はインフラ被害の軽減にも繋がるため、災害後の生活再建もスムーズに進むことが期待できます。

自然災害の多いフィリピンにおいて、地域の安全と未来を守る取り組みを、JICAはこれからも続けていきます。

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