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【農業】「フィリピン国コメのポストハーベスト対応に係る情報収集・確認調査」の調査報告書が公開されました。

2025.06.09

JICA東南アジア・大洋州部では、2024年8月から2025年2月にかけて「フィリピン国コメのポストハーベスト対応に係る情報収集・確認調査」を実施し、同調査の報告書が公開されました。
(報告書全文はこちら

フィリピンの農業分野では、農家の貧困率の高さや近代化・発展の遅れ等が課題となっていますが、特にコメはフィリピンにおける主食として、食料安全保障を考える上で最も重要な作物となっています。一方、同国の人口増加に伴う消費量の増加の結果、自給率は2022年以降70%代に留まっており(Philippine Statistics Authority: PSA)、2023年以降は世界一のコメ輸入国にもなっている状況です。特にコメの中でもポストハーベスト分野については、収穫後損失率は約14.5%と高いことが確認されていました(Philippine Center for Postharvest Development and Mechanization: PhilMech, 2016)。

フィリピン政府は日本に対して、灌漑、各種機械化、ポストハーベスト分野などにおける協力に対し高い期待を示しており、同調査はフィリピン農業省(Department of Agriculture)をカウンターパートとして、今後の協力可能性を検討すべく、同分野の調査を実施することとなりました。同調査の結果、収穫後損失の原因やバリューチェーンにおける各ステークホルダーが抱える課題等が明らかになり、現状分析・原因分析を踏まえた今後の協力の方向性を整理しました。

また、同調査を実施するにあたり、JICAはフィリピン農業省と継続的に協議を重ねてきました。ラウレル農業大臣とも複数回にわたって面会し、同大臣はJICAに対する期待だけでなく、高い技術力を有する日本企業にも信頼と期待を示されました。

なおJICAは、多様なアクターとの共創による社会課題解決やSDGs達成を目指すPrivate Sector Engagement(PSE)を推進しています。昨年12月19日には、民間企業等との共創を通じた開発課題解決への取組推進を目的に「東南アジア共創ラウンドテーブル」(関連リンク参照)を開催し、そのテーマの一つが「フィリピン×農業」セッションでした。同セッションには多数の民間企業に参加いただき、今後の連携可能性について議論しました。議論の中で、各社の事業内容やビジネス上の課題も共有いただき、各社が必要とする情報を上記調査の中でも収集し、報告書に反映しています。

同調査の結果を踏まえて、JICAは今後もフィリピンにおける農業分野の強化・発展に貢献すべくフィリピン政府と継続的に協議を重ねていく予定です。また、同分野における民間セクターの活躍の場を広げる上でのボトルネック解消を目指した協力を通じ、今後も民間セクターの振興と開発インパクトの拡大を目指していきます。

道路脇での乾燥による損失

乾燥ヤードを持たない農家や籾(もみ)集荷業者は、道路脇で籾を乾燥させています。交通量の多い道路では、車両の通過による籾の飛散や破砕、異物の混入、降雨による劣化など量的・質的損失が発生しています。

小規模灌漑組合への聞取り調査の様子

北部ルソン島のヌエバエシハ州にて小規模灌漑組合を訪問し、小規模灌漑施設の視察及び運用に係る聞取り調査を実施しました。農業省の土壌・水管理局が管理している小規模灌漑の運営やコメの生産における課題等について確認しました。




関連リンク:
【Private Sector Engagement(PSE)関連イベント】東南アジア共創ラウンドテーブルの開催について | ニュース・広報 - JICA

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