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パプアニューギニア 東ハイランド州で農業の力を育てるVol.3 ~緑肥試験の開始と現地で見られた反応~ 

#9 産業と技術革新の基盤を作ろう
SDGs
#15 陸の豊かさも守ろう
SDGs

2026.01.07

APO(やあ:東ハイランド州方言)。 パプアニューギニア・東ハイランド州ゴロカの州農畜産局(DAL)に、野菜栽培分野の隊員として派遣されている JOCV 2024年1次隊・原 大 です。

これまでの活動をJICA PNG事務所内で共有したところ、他地域の隊員や、今後協力隊を目指す方にも参考になる内容との助言をいただきました。本シリーズでは、現場での調査・技術支援・関係者との協働のプロセスを、全5回にわたり整理してお伝えします。

1 .試験ほ場の立ち上げと初期生育の確認
輸入した3品種(クリムソンクローバー、クロタラリア、カラシナ)の到着後、DAL(農畜産局)敷地内に試験ほ場を整備し、生育状況の確認が始まりました。播種後しばらく経過すると発芽が揃い、スタッフが日常的に生育を観察する様子が見られました。小規模ながら、自ら確認する工程が技術理解の第一歩となりました。

2 .品種別の反応と地域適応性の違い
カラシナは開花したものの、窒素不足が影響し着莢が思わしくありませんでした。一方、クロタラリアは花芽形成と莢の確認ができ、根粒も発生しました。クリムソンクローバーは発芽直後に虫害を受け、現地条件の再検証が必要と判断されました。

試験圃内での生育経過 播種から開花(刈取り時期)まで約45日と、温帯に比べ2週間ほど早い反応

3 .試験ほ場の役割 ― 技術共有の場として
試験ほ場は、単に結果を得るだけではなく、スタッフ間で意見交換や問いかけが生まれる場になりました。
・なぜ着莢まで行いながらその後莢が生育しないのか
・何が阻害要因なのか
・土?肥料?気温?
こうした議論は、DAL内部での技術理解を促し、緑肥が「自分たちで扱える技術」として認識され始めた段階と言えます。

4 .地理的適性の発見と次の展開
試験の過程で、クロタラリアとカラシナはゴロカでも生育可能である一方、クリムソンクローバーは標高条件が異なる州(例:シンブ州)との比較が必要という仮説が浮上しました。そのため、シンブ州の農家へ種子を提供し、農家圃場での試験も依頼するなど、「地域の検証から広域的な適地評価」へと展開が始まりました。

ゴロカ市内とシンブ州農家圃場の気温の比較
※ゴロカは月平均、シンブ州は 9月16~18日の平均値

5 .職員の意識変化と普及に向けた準備
試験ほ場の経験を通じて、
・観察する
・反応を見る
・原因を考える
という一連のプロセスが職員に残り、緑肥導入が机上の概念から実践的技術に移行しつつあります。
今後は、地区DALスタッフや農家を巻き込んだ展示圃設置など、普及に向けた動きが始まっています。

6 .今後の展望(Vol.4 へ)
試験ほ場は終点ではなく入口です。ここで得られた知見を踏まえ、展示圃の準備、地区スタッフとの連携、農家説明など、普及ステージに向けた活動が進んでいます。

次号(Vol.4)では、
展示圃づくりと現地の反応、職員の主体性が見え始める場面を紹介する予定です。

【過去の記事】
Vol.0「東ハイランド州で農業の力を育てる 」  
Vol.1 「東ハイランド州で農業の力を育てる」 ~課題の発掘と整理~
Vol.2「東ハイランド州で農業の力を育てる」 ~緑肥導入に至るプロセス~

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