自治体との連携

−今、途上国は地方自治体のノウハウを必要としています−

JICAでは、貧困に苦しむ途上国の人々の生活向上を目指し、より多くの人々に直接的に役立つ援助、保健医療サービスや飲料水の供給、食糧の確保などを通じて、途上国の人々のベーシック・ヒューマン・ニーズ(BHN)の充足を促進することに努めています。

一方、日本の地方自治体には、地域住民向けのサービスとして、上下水道、廃棄物処理、保健衛生・母子保健、社会福祉、農業普及、初等・中等教育、職業訓練、環境保全、公共交通といった分野で、これまで蓄積してきたノウハウと人材が豊富に存在しています。さらに、途上国の地方分権化に伴い、地方自治の手法そのものの経験が途上国にとって役立ちます。

【画像】

国際協力市民講座(山口県との共催)

また、ヒト、モノ、カネ、情報のグローバル化が進む国際社会では、各国間の相互依存と国際競争が一層高まっており、地域産業の貿易・投資活動など経済の国際化、日本人の海外渡航や日本国内に住む外国人の増加への対応に取り組む自治体が増えています。

さらに、グローバル化に伴い地球温暖化の問題をはじめとする地球環境の問題や開発途上地域の諸問題は直接、間接に日本に影響を与えており、資源・食料の大部分を海外に依存し、かつ、少子高齢化により近い将来国内市場の縮小と労働者不足の問題に直面するとされている我が国としては、日本の平和と安定のためにも、海外の諸問題に対し積極的に取り組むことが求められています。

途上国の多様なニーズに応えていくために、また、市民の方々の理解、支持、そして参加の上に国際協力を行うために、さらに、地域の国際化・活性化も視野に入れた国際協力を進めていくために、JICAは自治体の皆さまとともに、国際協力に取り組んでいきたいと考えております。

<自治体とJICAとの連携協定・覚書の締結>
JICAと自治体とは、協力関係の強化と、国際協力の効果的実施のため、双方の事業全般における連携強化のための包括的な協定あるいは特定分野における連携強化のための覚書を締結しています。2011年10月、JICAは初めて、横浜市と国際協力全般にかかる連携協定を締結しました。2010年5月には宮城県との間で、マラウイの食糧増産に向けた農業かんがい技術を向上する青年海外協力隊の派遣合意書を締結しました。

連携に向けた意見交換の場

JICAと地方自治体との間の情報交換、意見交換の場として、地方自治体の国際協力担当課との定期連絡会(ブロック会議)を開催しているほか、地方自治体、地域のNGO、地域住民などが参加して国際協力イベントを全国各地で開催しています。

国際協力推進員

JICAは地域とのつながりを強化するため、地方自治体や地域のNGO等との連携を推進するパイプ役として、1996年度より国際協力のノウハウを持つ人材を、「国際協力推進員」として地方自治体関係機関に配置しています。2016年8月現在53ヵ所に配置しており、国際協力に関する広報・啓発活動の推進、開発教育支援事業、自治体とJICAの連携促進等の業務を担い、活躍しています。

開発教育(国際理解教育)支援、啓発における連携

より多くの市民の方に国際協力を理解してもらうために、JICAはさまざまな開発教育(国際理解教育)支援、広報・啓発事業に取り組んでいます。たとえば、「国際協力キャンペーン」や「国際協力市民講座」、「国際協力出前講座」などを全国各地で展開しており、これらの多くは地方自治体や県市町村との共催・協力により実施されています。

【画像】

地方自治体等を対象とした職員研修

【画像】

地方自治体等を対象とした職員研修

問合せ先:
JICAと自治体の連携に関するお問い合わせは、最寄りのJICA国内機関もしくはJICA地球ひろば jgptcp@jica.go.jp までお願いいたします。