北岡理事長がインドを訪問:モディ首相ら要人との面談や事業現場の視察を通じ、JICAが最大規模の協力を行うパートナーと一層の協力関係強化を確認

2016年12月28日

ナレンドラ・モディ首相(右)と面談する北岡理事長(左)

「インド国高速鉄道建設事業詳細設計調査」覚書署名式の様子

北岡伸一JICA理事長は、昨年秋の理事長就任後、インド(ニューデリー及びタミル・ナド州)を初めて訪問し、世界第2位の人口とアジア第3位の経済規模を有し、わが国ODA最大規模のパートナー国であるインドとの関係強化を確認しました。

北岡理事長は、12月21日から23日にかけて、ナレンドラ・モディ首相、アルン・ジャイトリー財務大臣、スレッシュ・プラブー鉄道大臣、ヴェンカイアー・ナイドゥ都市開発大臣、アルビンド・パナガリア行政委員会副委員長、タミル・ナド州のオッタカラセバール・パニールセルバム州首相等と面談すると共に、JICAの支援プロジェクトの視察を行いました。また、21日にはインド日本商工会会員をはじめとする日本人関係者に対して講演を行いました。

12月21日に行われたジャイトリー財務大臣との面談では、11月の日印首脳会談を受け、日印両政府間で2018年に着工、2023年の開業を目指すことで合意されているムンバイとアーメダバードの両都市を結ぶ高速鉄道をはじめとするJICA協力プロジェクトについて、着実かつ速やかに実施する必要性を確認しました。また、インド側関係機関の取り組みも促進し、日印関係者間で連携を一層強化していくことについても一致しました。

さらに、北岡理事長は「インド国高速鉄道建設事業詳細設計調査」に関する鉄道省、国家高速鉄道公社、JICA、及び日本側コンサルタントチームとの間の実施取り決めの覚書署名式に、プラブー鉄道大臣とともに立会いました。

デリー商工会等日本人関係者を対象とした講演の様子

円借款事業の代表事例デリー・メトロを視察

同日にデリー市内で開催したインド日本商工会等日本人関係者向けのセミナーでは、北岡理事長が「日印関係の回顧と展望」と題して講演を行いました。100人以上の参加者を得たこの講演では、過去の日印21世紀賢人委員会参画の経験も踏まえ、奈良時代にさかのぼる長い日印関係に触れつつ、日印二国間関係の重要性について述べ、戦略的な協力推進の意欲を述べるとともに、インドの発展に貢献する日系企業活動への期待を語りました。

22日には、デリー・メトロを視察し、安全・定時運行、整列乗車の様子や、女性専用車両の導入等女性配慮の取り組みが進んでいる点を確認しました。

無償資金協力により整備したチェンナイ小児病院を視察

タミル・ナド州の自助グループの女性たちと握手を交わす北岡理事長

その後、北岡理事長はインド南部のタミル・ナド州に移動し、23日、同州のパニールセルバム州首相や関係閣僚他と面談しました。面談では、日系企業の進出と集積が進む同州における、タミル・ナド州投資促進プログラムや一部開業済のチェンナイ・メトロなどの成果を踏まえ、今後さらなる投資促進、経済成長、ひいては生計の向上につながる様々なプロジェクトに取り組んでいく必要性を両者で確認しました。

完成したばかりのチェンナイ小児病院を視察した際には、北岡理事長は、同病院が同州における小児医療及び医療教育の中核となり、同州の小児の健康状態及び医療水準の向上に貢献することへの期待を述べました。また、チェンナイ港の視察においては、JICA派遣の専門家の提言に基づき交通制御やゲート通過チェックシステム等が改善された結果、コンテナ輸送トラック等の渋滞が半減し、生活や経済活動に重要な物流が改善されていることを確認しました。

24日には、JICAが支援したタミル・ナド州の植林保全事業の取り組みを視察し、女性で構成された自助グループによる持続的な生計向上活動や、植林による森林保全の成果等を確認しました。

JICAは、今後も資金協力、技術協力、青年海外協力隊の派遣などを通じ、インフラ整備や保健や環境など社会セクターへの支援を行い、インド経済社会の発展と日印関係の緊密化に貢献していきます。