JICA社会基盤部 エネルギーバランスの「みえる化」を学習する-省エネルギー政策実現のために-

2021年9月21日

課題別研修の教材として作成

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省エネ政策の検討にあたって用いるデータ分析手法を、一つ一つ丁寧に説明します。

本教材「エネルギーバランス図作成とデータに基づく省エネ政策分析手法」は、JICA課題別研修「エネルギーの高効率利用と省エネの推進」において、講義教材として導入することを目的に作成しました。

地球温暖化の原因となる温室効果ガスの削減のため、2015年のパリ協定以降、エネルギーの低(脱)炭素化推進が急務となっています。省エネは同目標達成に大きく寄与するものとされていますが、その政策の立案にあたっては、国全体のエネルギー需給の特徴をデータに基づいて把握し、効果の大きなセクターから順序だてて対応していくことが有効です。けれども、ほとんどの途上国では、データに基づく評価が的確になされていないのが実態です。

データを「みえる化」するには?

教材では、省エネ政策の検討にあたって用いるデータ分析手法、特に、1)IEAによるエネルギーバランス表を見える化したエネルギーバランス図の作成・活用手法、2)IEAのエネルギーバランス表を活用したセクター別1次エネルギー消費量の見える化ツールの作成・活用手法の2点について、実演を交えて解説します。

学習者は本教材視聴後、必要なデータをIEAより取得し、本教材で解説されている手法をまねることで、同様の分析を行うことが出来るようになることを狙いました。
IEAには多くの国のエネルギーデータが揃っており、積極的な活用が望まれますが、ウェブサイトに掲載されているエネルギーバランステーブルは、情報が読み取りにくい数値情報です。それらを「みえる化(図化)」することにより、全体図がわかりやすくなり、その国の状況や課題を理解しやすくなります。また、セクター別1次エネルギー消費量のみえる化は、より明確に重点セクターがどこかを定量的に示すツールとして非常に有効です。

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IEAの表から図を作成してエネルギーバランスを"見える化"します。

様々な場面で活用

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その他、実務で役立つ様々なツールも紹介しています。

当該研修は、複数コースが行われ、全てのコースに共通するコアカリキュラムを策定しています。本教材で扱う内容は、コアカリキュラムのうち最も重要な項目であり、各コースの内容平準化を図るために活用されます。具体的には、エネルギーバランスに基づく分析に着手するためのinducementとして研修員にビデオを見せて、エネルギーバランス図の作成及び運用に係る理解の効率化を図ります。

本教材は、課題別研修の教材(カリキュラムの一部に本教材の視聴を含める)としてだけでなく、JICA内勉強会の実施、カウンターパート向け技術移転など(省エネルギー政策立案に関わる人間すべてに技術移転するにあたって利用)、様々な場面で活用可能です。
教材で扱うエネルギーバランス図作成及び一次エネルギー評価に基づく省エネ優先セクターの特定は、省エネルギー政策の立案にあたって常に出発点として実施するべき事項で、JICA内にとどまらず、省エネルギー政策の立案・実施に関わる人間すべてに見ていただきたい教材です。本教材の学習を通じ、有効な省エネ政策立案・実施が推進されることを期待しています。

教材で使用しているひな形ファイルはこちらです。ぜひご利用ください(英語)

毛利 剛士
社会基盤部 資源・エネルギーグループ

このページで紹介している教材

エネルギーバランス図作成とデータに基づく省エネ政策分析手法

省エネ政策の検討にあたって用いるデータ分析手法、特に、1)IEAによるエネルギーバランス表を見える化したエネルギーバランス図の作成・活用手法、2)IEAのエネルギーバランス表を活用したセクター別1次エネルギー消費量の見える化ツールの作成・活用手法の2点を解説します。
2015年のパリ協定以降、エネルギーの低(脱)炭素化推進は急務となっており、省エネは同目標達成に大きく寄与するものとされています。省エネ政策の立案にあたっては、国全体のエネルギー需給の特徴を把握し、効果の大きなセクターから順序だてて対応していくことが有効です。本教材では、国全体のエネルギーセクターを、どのように分析していくか、実演も交えて解説します。