【研修事業】十勝とエジプトの市場志向型農業でアラブ圏の農業に変革を!

2024.03.25

研修概要

2024年2月16日から3月7日まで課題別研修「アラブ圏市場志向型農業振興(行政官)」コースを実施し、アラブ圏(エジプト、パレスチナ)から7名の研修員が参加しました。
本研修の特徴は、JICA北海道センター(帯広)で10日間の研修を実施した後、エジプトでも5日間の補完研修を実施した点です。研修員たちは十勝とエジプトで何を学んだのか?その様子をご紹介します!
また本研修は下記FacebookならびにNHKのホームページでも紹介されていますのでぜひご覧ください。
【JICA SHEP Facebook】
英:https://www.facebook.com/share/VE2usseGwjYhuRcP/
日:https://www.facebook.com/share/p/ncZCetjwxKcAD24f/

【NHK HP】
URL:https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20240318/7000065696.html

SHEPアプローチとは

本研修は、途上国の農家が「作ってから売る」ことを考えるのではなく、市場で「売るために作る」ものを考えるという意識変容を喚起し、農家の栽培・営農スキルの向上を通して、所得向上を目指す、JICAが開発した小規模農家支援の SHEP (Smallholder Horticulture Empowerment & Promotionの略)アプローチを実践するプログラム構成としています。
詳しくはJICAのSHEPアプローチに関するHPをご覧ください。
URL:https://www.jica.go.jp/activities/issues/agricul/approach/shep/index.html

本邦研修(2/16~2/29)

JICA北海道センター(帯広)で行われた研修では、SHEPの概念や手法、アプローチについて学んだあと、十勝地方での市場を意識した農業生産・流通・販売の事例として関係機関を訪問しました。

研修員からは、
「市場のニーズを研究し、適切な品種を栽培してうまく販売できるよう、市場、農家、協同組合間が比類のないレベルで情報交換・協力をしていた。」
「卸売市場、さらには小売市場の仕事内容を知ることで、地域の農家や業者の意識を高め、情報交換の重要性を認識し、情報交換を行うことが重要であることがわかった。」
「農業普及員が主催する会議を通じて、農家間の関係を改善・発展させるための会議を開催し、季節ごとの明確な農業計画を策定するための話し合いの場を設けたい。」
など、学んだことと帰国後の実践について意欲的なコメントが寄せられました。

帯広市地方卸売市場

2月の帯広は時折積雪もありましたが、研修員たちは氷点下の気温の中で風邪などひくことなく、普段見ることのできない雪を堪能しました!

在外補完研修(3/3~3/7)

本邦研修後、JICAの技術協力プロジェクトが行われているエジプトを訪問し、5日間の在外補完研修を実施しました。
エジプトでは、2014~2019年にミニア県とアシュート県を対象にSHEPアプローチに基づいた技術協力プロジェクト「小規模農家の市場志向型農業改善プロジェクト(Improving Small-scale Farmers’Market-oriented Agriculture Project(ISMAP))」を実施しており、2023年10月から第2フェーズを実施しています。今回、プロジェクト対象地域を訪問し、実際に農家の立場に立って市場調査を実践し、プロジェクトに参加した農家と意見交換を行いました。

市場調査では、アシュート卸売市場を訪問し、研修員が農家の立場になって市場関係者(買い手)に、トマトやキュウリ・玉ねぎなどの農作物について「いつ」「どのくらい」「どんな品質で」「いくらで」買いたいか聞き取りを行いました。また、市場調査の結果を基に栽培する作物を選び、出荷時期等の話し合いも行いました。
研修員からは、「農家は市場のニーズを把握することで、より儲けを生み出す栽培計画を立てることができると実感できた」といった感想のほか、「一方的に情報を入手するだけでなく、双方向のやりとりで信頼関係構築につながる」「農家が市場調査をする際にどう市場関係者とつなぐか考えを深められた」といった意見がありました。

アシュート卸売市場 集合写真

市場調査

また、プロジェクト実施村(Manfoot村、Kom Mata村)を訪問し農家と意見交換を行いました。農家から「市場調査を通して取り扱う作物の種類を増やすことができた」「いつ何を売るために何を作るか考えることで利益が増えた」といった話のほか、特に保守的な村では女性は圃場で働くことが許されない中、「プロジェクトを通して家畜飼養を学び世帯所得へ貢献できるようになった」という話を聞きました。
研修員からは、
「農家自身がSHEPアプローチを深く理解し、市場調査の重要性を認識していることに驚いた。」
「所得向上だけでなく、農家の社会性や自信を高めることができる。」
といったコメントが寄せられました。

農場視察

農家との意見交換

最後に

最終日には、本研修で学んだことを今後どのように実践するか研修員が発表し、各国・地域の状況にあったSHEPを展開していきたいと意欲的な発言が一様に聞かれました。今回の研修員が十勝とエジプトの両方で学んだ知見をもとに各国・地域でSHEPアプローチを展開し、その様子を次の研修員が視察で訪れる・・そうした循環が生まれる未来を願っています。

アクションプラン発表

閉講式

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