【高専生からのレポート】共創プロジェクト~KOSEN KYORYOKUTAI inモンゴル~その3~
2026.01.28
JICAでは、NGO、大学、民間企業、公的機関など多様なアクターとの「共創」により、社会課題を解決する取り組みを推進しています。JICA東京ではこの取り組みの一環として、高等専門学校(高専)とJICA海外協力隊との共創プロジェクト(KOSEN KYORYOKUTAI)を実施しています。
◆第一弾 マレーシア編
【高専生からのレポート】共創プロジェクト~KOSEN KYORYOKUTAI~ | 日本国内での取り組み - JICA
◆第二弾 モンゴル編~その1~
【高専生からのレポート】共創プロジェクト~KOSEN KYORYOKUTAI inモンゴル~その1~ | 日本国内での取り組み - JICA
◆第二弾 モンゴル編~その2~
【高専生からのレポート】共創プロジェクト~KOSEN KYORYOKUTAI inモンゴル~その2~ | 日本国内での取り組み - JICA
モンゴル編では、協力隊の職種別に参加学生からの現地レポートを3部作でお届けしています。是非シリーズでご覧ください!
長岡高専の参加者の皆さん
このプロジェクトは、海外研修や留学に参加する高専生が、その一部の期間にJICA海外協力隊の活動に参加することで、グローバルエンジニアに必要な国際的な視野を養い、グローバルな課題への意識を高めることを目的としています。高専生にとっては、関心のあるテーマに関連する世界の課題や、それらの解決に向けて世界各地で行われている活動を体験する機会となり、JICAにとっては将来の国際協力人材の育成につながる事業です。
モンゴル編~その3~では、日本語教育、障害児・者支援のJICA海外協力隊の活動に密着した、長岡高専5年生の石田さん、フットさんの活動レポートをお届けします!
【活動1日目午前(モンゴル国立教育大学・日本語教育の隊員へ密着)】
(フットさん)
モンゴル国立教育大学を訪問しました。日本語教育隊員の授業が当日休講であったため、モンゴル人教員による日本語授業を見せていただきました。授業は「読解」と「文法」の2クラスに分かれており、前半は読解授業を見学しました。読解授業では、学生による発表が行われており、テーマは「モンゴル遊牧民の名物紹介」でした。ウランバートルでは手に入らない多様な食べ物や特産品が紹介され、特にザブハン県産の赤いニンニクに興味を持ちました。日本に持ち帰ってラーメンに入れたらどうなるだろうと想像しながら、発表を楽しく拝聴しました。学生の日本語能力は高く、質疑応答もスムーズに行われており、担当教員の、学生の誤った漢字の読みを優しく訂正し、困っている学生を丁寧にサポートする姿勢が印象的でした。
後半は文法授業を見学しました。内容は「動詞を”た”形に直す」というもので、教師が「食べる」などと書かれたカードを提示し、学生たちが一斉に「食べた」と答える形式で進行していました。暗記中心ではなく、学生が積極的に発話することを重視した授業構成であり、言語学習には「使って覚える」ことが最も効果的であると改めて感じることができました。授業の最後には質問カードを用いたペア会話活動が行われ、私たちも学生と会話に参加し、日本語能力は前のクラスより低いと説明を受けましたが、実際には理解力も高く、自然な会話が成立していました。また、モンゴルの学生が日本文化に強い関心を持っていることに感銘を受け、日本という国が多くの人々にとって憧れの存在であることを実感しました。
授業の中で自己紹介をしました
読解授業での「モンゴル遊牧民の名物紹介」の掲示を見学
学生の日本語での赤ニンニクの紹介
【活動1日目午後(モンゴル科技大高専・日本語教育の隊員へ密着)】
(石田さん)
午後は科技大高専を訪問し、日本語教育隊員が指導する「日本語でディベートを行う授業」を見学しました。学生たちは自分の意見を日本語で表現し、論理的に伝えることに挑戦していました。発音や語彙の課題はありましたが、自分の考えを堂々と述べる姿勢が印象的で、日本語教育が単なる言語学習にとどまらず、「考えを伝える力」を養う場であることを実感しました。
日本語授業(ディベート)の見学
高専生が授業について隊員へ質問をしている様子
【活動2日目(障害児・者支援の隊員へ密着)】
(フットさん)
この日はウランバートルから離れたバガノール地区を訪問し、障害児・者支援隊員が勤務する幼稚園を見学しました。当該幼稚園は障害児向けではなく、保護者が仕事で多忙な家庭の子どもを預かる施設でした。日帰りで通う子どももいれば、週末のみ帰宅する子どももいると伺いました。今回の訪問目的は、ここで活動している障害児・者支援隊員の活動体験でした。この日は子どもたちに「日本のボウリング」を教える活動が行われ、隊員が汗を流しながら全力で子どもたちと向き合う姿に感動しました。子どもたちは笑顔で楽しみながら参加し、最後に最も得点の高い子どもに手作りのメダルが授与されました。しかし、惜しくも勝てなかった子どもの一人が悔しさで泣き出してしまい、すると、メダルを受け取った子どもがそのメダルを泣いている子の首にかけてあげるという場面があり、その優しさと譲り合いの心に深く感動しました。
午後はカフェで隊員と懇談し、現地での生活や赴任当初の苦労などについて話を伺いました。どの国でも言語の壁が最も大きな課題となるという点に共感しました。また、休日にはラジオを草原に持参して音楽を聴きながらくつろぐというエピソードを聞き、モンゴルの自然と調和した生活の在り方を感じることができました。
(左・中央)ボウリングを用いて数字を数える学習活動を行っている様子
アクティビティのサポートをしました
(石田さん)
モンゴルでは、都市部と地方の教育格差や、教育資源の不足といった社会課題を目の当たりにしました。一方で、JICA海外協力隊の方々が現地の人々と同じ目線に立ち、共に課題を解決しようとする姿勢に強く感銘を受けました。特に、密着したそれぞれの隊員の活動からは、単なる支援ではなく『自立を支える教育』の重要性を感じました。現地の文化や価値観を尊重しながら持続的な支援を行う姿勢は、国際協力における理想的な形であり、日本から持ち込む技術や知識を“押しつける”のではなく、現地の人々が自ら考え行動できるよう導くことの大切さを学びました。
(フットさん)
モンゴルでの教育現場の見学では、特にモンゴル科技大高専での日本語教育隊員の授業が印象的に残りました。隊員は、学生たちが自分の考えや感情をより自由に表現できるようにと、授業をディベート形式に変更していました。この形式では、学生たちが与えられたテーマについて自分の意見を述べ、互いに議論を深めていくという、単に知識を覚える授業ではなく、「自分の言葉で伝える力」を育てる教育方針が感じられました。また、グループワークを取り入れることで、学生同士が助け合いながら自然に学び合う姿勢も生まれており、教室全体が明るく前向きな雰囲気に包まれ、学ぶことの楽しさを大切にしている様子が印象に残りました。
さらに、モンゴルでは、共働きの家庭が増えたことで、両親が仕事で忙しく、子どもと過ごす時間が十分に取れないという社会問題が深刻化していると伺いました。そのため、一部の保育園では、子どもたちが泊まり込みで生活したり、日帰りで通ったりしています。私たちはそうした子どもたちと交流し、日本の遊びやスポーツを紹介しました。中でも、モンゴルではあまり知られていないボウリングを一緒に楽しみ、子どもたちの笑顔を見ることができ、遊びを通して言葉や文化の壁を越えた交流ができたことは、私にとって忘れられない貴重な経験となりました。
(石田さん)
今回のモンゴルでの活動を通じて、教育の現場や国際協力の現実に触れる貴重な経験を得ました。初めは緊張もありましたが、現地の方々の温かい歓迎と隊員の方々の情熱的な姿勢に触れ、自分も誰かの成長を支えられるような技術者・教育者を目指したいという思いが強まりました。特に、自分の研究を通じて“学びを支える技術”を発展させ、将来的には国際的な教育支援にも携わりたいと感じました。今後は、研究活動を通して現地のニーズに寄り添い、技術で人をつなぐことを目標に取り組んでいきたいです。
(フットさん)
モンゴルで過ごした日々は、本当に毎日が楽しかったです。初日から美味しい料理をごちそうになり、とても嬉しく、次の日からもいろいろなモンゴル料理を味わうことができて満足しました。しかし、モンゴルの料理は日本に比べて調味料が少なく、どの料理も似たような味に感じられた点は少し残念に思いました。それでも、首都ウランバートルだけでなく、地方の町にも行くことができ、モンゴルのさまざまな一面を見ることができて大満足でした。現地の人々は日本人に対してとても親しみやすく、気軽に話しかけてくれたり、笑顔で「バイバイ」と手を振ってくれたりして、温かさを感じました。
また、活動終了後に、ドラマ『VIVANT』の撮影場所に立ち寄る事もできました。帰り道に、大きなトラックによる大渋滞に巻き込まれ、ドライバーがなんとか渋滞を避けようと、横道に入り、草原の上を走ると、でこぼこ道で寝ていた人たちがみんな驚いて目を覚まし、笑いが起こりました。その瞬間は今でもとても印象に残っています。
モンゴルでの経験を通して、海外では日本では絶対にできないような体験がたくさんできると改めて感じました。個人的には、モンゴルのような国は若いうちに行っておくべきだと思います。今後も海外に行く機会があれば、現地の料理をたくさん食べ、現地の人々と積極的に交流し、日本やタイではできない経験をもっと重ねていきたいと思います。
2日目の訪問先の幼稚園の園長先生とお話ししていた時の様子
4日目のモンゴル高専でVRワークショップをしている様子
初日に食べたモンゴル料理
石田さん、フットさん、想いのこもった素敵なレポート、ありがとうございます!
3部作でお伝えしておりました、KOSEN KYORYOKUTAIモンゴル編シリーズも終了となります。
モンゴルでの活動の様子をもっと知りたい方は、JICA東京のInstagramにて動画で紹介しています。
こちらも是非ご覧ください!
参照リンク:JICA東京instagram
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