JICA緒方研究所

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カンボジアで外国通貨の使用状況調査をモニタリング—小田島上席研究員ら

2017年10月2日

現地調査員による企業へのインタビューに同行する相場研究員(左奥)

JICA研究所がカンボジアの中央銀行であるNational Bank of Cambodia(NBC)と共同で行っている研究プロジェクト「カンボジアにおける自国通貨利用促進に関する実証研究」では、同国の経済でどれほど外国通貨が使用されているかを定量的に把握するため、全ての州で現地の調査員がインタビューを行い、家計や企業での外国通貨の使用状況といった情報を収集するフィールド調査を行っています。

2014年10月~2015年1月の調査に続き、2017年7月からは第2回目の調査を開始し、同年11月まで行われる予定です。この調査のモニタリングのため、2017年9月3~9日まで、JICA研究所の小田島健上席研究員、相場大樹研究員、奥田英信一橋大学大学院教授が現地を訪問しました。

今回の調査が行われたのは、カンボジアの北西、タイ国境付近に位置するバッタンバン州とパイリン州。特にバッタンバン州は同国内では首都プノンペンに次いで第2位の経済規模を持つ地域です。両州ともタイとの取引が盛んに行われ、外国通貨の使用が観測されることが期待されます。

小田島上席研究員らはそれぞれ別の現地調査員に同行し、精米業者や建築材卸売などの企業の経営者や一般家庭へのインタビューに参加。インタビューのプロセスや対象家計・企業の選定プロセスのモニタリングを行いました。外国通貨の使用状況に加え、この地域特有の家計や企業の生産活動についても定性的に把握するため、さまざまな質問を投げかけました。その結果、どちらの州でも収入や支出、貯蓄などで、米ドルだけでなくタイバーツも使用している様子が確認されました。

今回の調査結果は、前回と同様、現地の主なステークホルダーを対象に発表される予定です。前回のセミナーの様子および報告資料は、関連記事のほか、カンボジア中央銀行のレポートにまとめられています。また、セミナーで報告された研究成果の一部は一橋経済学で特集されています。

カンボジア中央銀行の職員(左奥)も同行し、調査のノウハウを吸収

この研究プロジェクトはNBCの調査・研究能力の強化を図るという側面もあり、NBCの職員も今回の調査に同行しました。今後も全ての調査へのNBC職員の派遣を通してフィールド調査のノウハウを吸収し、現地の家計と企業の実際の状況を把握して今後の政策立案に役立てられることが期待されています。

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