ドイツ開発研究所(DIE)と英国開発学研究所(IDS)で新興国援助戦略研究の成果を発表—下村名誉教授・志賀主任研究員

2018.12.11

2018年11月12~16日にかけて、JICA研究所の大野泉所長と志賀裕朗主任研究員、法政大学の下村恭民名誉教授が欧州を訪れ、ドイツ有数のシンクタンクであるドイツ開発研究所(German Development Institute: DIE)および英国サセックス大学に拠点を置く開発学研究所(Institute of Development Studies: IDS)で、JICA研究所の研究プロジェクト「新興国の開発協力とその影響に関する研究」の成果を発表しました。2018年7月にJICA研究所とIDSが共同で刊行したIDS Bulletin特集号「Emerging Economies and the Changing Dynamics of Development Cooperation」にこの研究成果がまとめられており、今回はその発刊を記念して2カ国でセミナーが行われたものです。

まず12 日にはDIEでセミナーが行われ、JICA研究所で書籍発刊セミナーを開催した経験もあるシュテファン・クリンゲビールDIE研究員の司会のもと、DIE研究員やDIEが主催するMGG(Managing Global Governance)プログラムを通してDIEに交流滞在中の新興国(中国、インドなど)の研究員や学生など、約20人が参加しました。まず、下村名誉教授がアジアの雁行形態的経済発展の特徴について、次いで志賀主任研究員がインドによる開発途上国の立憲民主主義構築支援の概要について発表。DIE側からは、激変する国際環境に対応した今後の開発協力の在り方に関して発表がなされました。その後、参加者との間で活発な質疑応答が行われ、新興国からの参加者より、自国の経験に照らした質問が数多く提起されました

16日には、IDSでセミナーが行われ、メリッサ・リーチIDS所長の司会のもと、ジン・グー新興国問題研究所長、サセックス大学の教員や学生など、約40人が参加しました。まず志賀主任研究員がインドによる途上国の立憲民主主義構築支援の概要について発表した後、下村名誉教授は新興ドナーが自身の被援助経験を生かしてどのように独自の知識を創造し、今後はそれを援助国の立場からどのように被援助国に移転していくかについての理論を発表しました。その後、会場から数多くの質問が出され、活発な質疑応答が行われました。

また、大野所長は2019年に予定されているT20(Think 20)東京会合に向けた連携を含む、今後のJICA研究所との協力の方向性について、DIE、IDS、英国海外開発研究所(Overseas Development Institute: ODI)のほか、ドイツ経済協力開発省(Federal Ministry for Economic Cooperation and Development: BMZ)、英国国際開発省(Department for International Development: DfID)とも意見交換を実施しました。

DIEを訪問したJICA研究所の大野泉所長(左から2人目)

IDSで発表した法政大学の下村恭民名誉教授(中央)とJICA研究所の志賀裕朗主任研究員(右から2人目)

世界の相互依存が深まる中、さまざまなアクターの協調のもとで世界の制度的・規範的な枠組み(グローバル・ガバナンス)をどのように構築していくかが重要課題です。JICA研究所も各国のシンクタンクや政府機関などとの連携を深めながら取り組みを進めていきます。

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