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タジキスタン全国規模の家計調査、中間集計を現地セミナーで発表—村上研究員ら

2019年5月10日

調査結果について述べる村上エネレルテ研究員(左端)とJICAタジキスタン事務所の田邉秀樹所長(左から2番目)

タジキスタン経済は、出稼ぎ移民からの送金に大きく依存しています。2005年以降は、国内総生産(GDP)に占める海外からの送金流入額が世界で最も高い国の一つとなり、2013年には過去最高の37億ドルに達し、GDPの42パーセントを占めました。その後、2014年から2015年にかけてのロシア経済停滞と、それに伴う同国の移民規制強化によって、同国への海外送金の流入は一時的にやや減少したものの、2017年以降は再び増加傾向を示しています。

出稼ぎ移民と海外送金をめぐる同国の複雑な問題を研究するため、JICA研究所は研究プロジェクト「フィリピンとタジキスタンの家計における海外送金に関する研究」において、タジキスタンにおける全国規模の家計標本調査を2018年に実施しました。これは、2013年に世界銀行とドイツ国際協力公社(GIZ)が「Central Asia Longitudinal Inclusive Society Survey(CALISS)」の一環として実施した「Tajikistan Jobs, Skills, and Migration Survey」の追跡調査です。2019年2月20日には、本調査の中間集計の主な結果を周知するためのセミナーが、JICA主催で、同国の首都ドゥシャンベにて開催されました。政府機関および国際機関の関係者ら約60人が集まった本セミナーには、JICA研究所から村上エネレルテ研究員と村田旭招聘研究員が参加しました。

開会のあいさつにはJICAタジキスタン事務所の田邉秀樹所長が立ち、本調査の重要性と、同国でのJICAの活動における本調査結果の有用性について強調しました。

続いて、村上研究員が本調査結果の概要を発表。中間集計結果として、村上研究員はまず、海外出稼ぎ移民を抱える世帯が全世帯数に占める地域別割合、1世帯当たりの海外出稼ぎ移民の人数などについて報告しました。そのうえで、2013年と2018年の調査結果を比較し、出稼ぎ移民に関する傾向に大きな変化は見られなかったと述べました。また村上研究員は、タジキスタンからの最多出稼ぎ先はロシアであり、全体の90パーセント超を占めること、海外で出稼ぎをする理由としては、回答者の大半が、就労および家族への仕送りを挙げていることを報告しました。

その後行われた質疑応答では、教育の問題に関する質問やコメントが多く寄せられました。この背景には、タジキスタンからロシアへ出稼ぎした労働者のほとんどが専門性を必要としない仕事に就いているにも関わらず、その給与水準はタジキスタン国内の高度な専門職よりもはるかに高いため、同国の若者から高等教育を受けたいという意欲を削いでしまっている実情があります。活発な議論の中で、参加者からは、同国内の教育の質が低いために、高等教育を受けていても国内就労に必要な十分なスキルが得られないという問題提起がありました。

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