アフリカを通して人間の安全保障を考える「世界とつながろうプロジェクト2022 JICA×AFPBB News」のセミナーに牧野副所長が登壇

2022.08.05

2022年7月16日、JICA主催のオンラインセミナー「激変する世界の中で人間の安全保障をアフリカから考えてみよう」にて、JICA緒方貞子平和開発研究所(JICA緒方研究所)の牧野耕司副所長が登壇し、大学生を中心とした多数の参加者と共に人間の安全保障とアフリカについて議論しました。

このセミナーは、若い世代が国際課題に目を向け、知り、考え、同世代に伝えてほしいとの思いからJICAが立ち上げた「世界とつながろうプロジェクト2022 JICA×AFPBB News」の第一弾イベント。AFP通信が配信する日本語のニュースサイト「AFPBB News」と、国際関係や国際政治を学ぶ大学生の学術団体「十大学合同セミナー」とのコラボレーションによりスタートしました。

牧野副所長は「今日の人間の安全保障とアフリカ」と題して講演し、まず、人間の安全保障とは、さまざまな脅威に対して弾力性のある強い(レジリエントな)社会をつくることで、人々の命、暮らし、尊厳を守る概念であること、人間の安全保障は持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)の基盤であり、SDGsを下支えする基盤となること、人間の安全保障には保護とエンパワーメントという二つのアプローチがあることを紹介。続いて、アフリカが現在直面する脅威については、新型コロナウイルス感染症の影響、気候変動に対する脆弱性の増大、ロシアによるウクライナ侵攻が引き起こした食糧危機を挙げました。また、連鎖・複合する脅威に対応するには、人間の安全保障の視点を生かした分野横断的な取り組みが必要だとし、まずどのような脅威があるかを分析して、保護とエンパワーメントの二つのアプローチで人々と社会のレジリエンスを強化すること、そのためには、政府、NGO、民間企業、国際機関などの複数のプレーヤーの連携が極めて重要だと述べました。最後に牧野副所長は、「アフリカが大変だという話もしたが、実はアフリカはタフでダイナミック。例えばタンザニアのマサイの人は、だだっ広い草原でソーラーパネルを使い、スマートフォンを持っているという実態もある。石を使った干ばつに強い農法という伝統的な工夫もある。こんなアフリカで、人間の安全保障に基づいてレジリエントな社会をつくるにはどうしたらいいか議論したい」と締めくくりました。

「今日の人間の安全保障とアフリカ」と題してJICA緒方研究所の牧野耕司副所長が講演

セミナー後半には、東アフリカ地域における武力紛争などを研究する慶應義塾大学法学部の杉木明子教授のほか、南スーダン出身で紛争を経験し、現在はJICA長期研修員として広島大学大学院に在学中のカミス・ボル・アヤク・アグアル氏、そして牧野副所長の三人によるパネルディスカッションが行われました。それぞれの体験に基づき、困難で厳しい環境に置かれながらも力強く生きているアフリカの人々の様子を紹介しつつ、差し迫る脅威やリスクを乗り越え、尊厳を持って生きられる社会をつくるには何が必要か議論しました。

「人間の安全保障の実現に、自分に何ができるか考えてほしい」と呼びかけた牧野副所長

その中で牧野副所長は、モバイルマネーが先進的に広がっていることなどを挙げつつアフリカは非常にユニークでポテンシャルがあるとし、JICAによるアフリカの社会起業家を支援するビジネスプランコンテスト「NINJA(Next Innovation with Japan)」を紹介。また、「脅威の一つとしてのデジタルの問題をアフリカの開発においてどう考えるか」という参加者からの質問に対しては、「デジタルトランスフォーメーションは非常に重要だが、プラスとマイナスの両面がある。サイバー攻撃などのマイナスの面にも注意しつつ、人間の安全保障の実現のためにうまく使うことも必要で、この双方を見ていくことが今のアフリカでの課題」と述べました。最後に、「自分にとっての人間の安全保障とは何か、そしてそれを実現するために、小さなことでも自分に何ができるか考えてほしい」とコメントし、参加者にアクションを呼びかけました。

関連動画

【オンラインセミナー】激変する世界の中で人間の安全保障をアフリカから考えてみよう(JICA YouTubeチャンネル)

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