JICA緒方研究所レポート「今日の人間の安全保障」創刊号―人間の安全保障を再考する
JICA緒方貞子平和開発研究所(JICA緒方研究所)は、定期刊行のフラグシップ・レポートとして、JICA緒方研究所レポート「今日の人間の安全保障」を創刊しました。本レポートは、人間の安全保障の概念とその実践を多様な切り口で分析・研究し、時代の変化も踏まえた人間の安全保障の今日的意義を世界に発信することを目指しています。
創刊号では、「人間の安全保障を再考する」をテーマに、現在の世界の脅威を俯瞰した上で人間の安全保障の今日的意義と開発協力への示唆を示す論考、人間の安全保障研究の歩みと展望を述べる論考に加えて、今日の人間の安全保障に関する有識者による対談も収録しています。また、「トピックス」として、新型コロナ・パンデミックと人間の安全保障を取り上げ、新型コロナの保健セクターへの影響、コロナ禍を受けたアフリカにおける人間の安全保障をめぐる理解と実践の変化、コロナ禍での移民送金と人間の安全保障等、様々な視点から論じています。さらに、JICA緒方研究所の各研究領域における研究活動を人間の安全保障の切り口から紹介しています。
JICA緒方研究所は、本レポートの発刊を通じて「今日の人間の安全保障」を不断に見つめ直し、人々の命、暮らし、そして尊厳を守る「弾力性のある強い(Resilient)」社会の実現に貢献していきます。
█コア・メッセージ█(レポート冒頭より抜粋)
時代とともに進化する人間の安全保障
—最大級の脅威に直面する国際社会が、人々の命、暮し、尊厳を守るには?—
人間の安全保障の概念が生まれて約30年。紛争や自然災害、強制移動、グローバル化による負の影響など既存の課題が先鋭化するとともに、コロナ禍や気候変動、DXの光と影、少子高齢化などの新しい問題が顕在化している。これらの世界の問題を正しく捉え、適切に対応していくには人間の安全保障の視座が有効ではないか。本レポートでは、時代の変化に応じて人間の安全保障をどう理解すべきか、またその適切な実践のためのアプローチとは何だろうかという問いについて探求していきたい。
【目次】➤➤➤➤➤➤➤➤➤➤➤➤➤➤➤➤➤➤➤➤
■巻頭言:JICA 緒方研究所レポート「今日の人間の安全保障」の創刊にあたって
(国際協力機構(JICA) 理事長 北岡伸一)
■今日の人間の安全保障と開発協力
(JICA緒方貞子平和開発研究所 副所長 牧野耕司)
■人間の安全保障研究の歩み —JICA緒方貞子平和開発研究所の取り組みを中心に—
(JICA緒方貞子平和開発研究所 上席研究員 武藤亜子/非常勤研究助手 杉谷幸太/リサーチ・オフィサー 竹内海人/リサーチ・オフィサー 大山伸明)
■対談:今日の人間の安全保障を考える
(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス 名誉教授 メアリー・カルドー/政策研究大学院大学 学長 田中明彦/JICA緒方貞子平和開発研究所 研究所長 高原明生)
■人間の安全保障と緒方貞子氏 — 追悼メッセージ
(第9代国連事務総長 アントニオ・グテーレス/第11代国連難民高等弁務官 フィリッポ・グランディ)
■トピックス:新型コロナと人間の安全保障
〔寄稿〕新型コロナウイルス感染症と人間の安全保障
(公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund) CEO 國井修)
〔研究ノート1〕アフリカにおける人間の安全保障をめぐる理解と実践 —歴史とコロナ禍のもとでの変化—
(JICA緒方貞子平和開発研究所主任研究員 花谷厚)
〔研究ノート2〕移民送金と人間の安全保障 —移民送金のマクロおよびミクロレベルでの影響とコロナ禍で起きたこと—
(JICA 緒方貞子平和開発研究所上席研究員 原田徹也/ リサーチ・オフィサー 松尾寛子)
〔研究ノート3〕新型コロナウイルス感染症と保健 —人間の安全保障の視点から—
(JICA緒方貞子平和開発研究所 研究員 駒澤牧子/主任研究員 齋藤聖子/主席研究員 牧本小枝/JICA 国際協力専門員 磯野光夫)
■研究の現場から: JICA緒方研究所 研究領域紹介
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また、本号の英語版も発刊されましたので、以下の関連リンクからご覧になれます。
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