2014年3月12日
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三上主任研究員 |
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古川上席研究員 |
ドイツ開発研究所(DIE)とJICA研究所は、2011年に東京で開催した一般財政支援に関する合同ワークショップを契機として、共通のテーマ「援助の氾濫」を設定し、継続的に意見交換や人事交流を行ってきました。今回、この人事交流によるDIEからの招聘研究員を迎えて、合同ワークショップ「国際援助における非援助協調の政治と影響」を2月21日に開催しました。
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細野SRA |
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稲田教授 |
次に、クリンゲビール氏は、「Cost of Non-Europe in Development Policy」と題された発表の中で、「援助の氾濫」に対処するには、政策、プログラム、実施レベルでの援助の協調が重要であると述べました。援助協調により、多額の経費が節約されることを検証する一方で、EU諸国間での援助協調の達成には、各国が合意する必要性や取引コストなどの課題もあることを紹介しました。
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ライダラー氏 |
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クリンゲビール氏 |
セッション1の最後に、稲田教授は上記3名による発表の内容を踏まえ、「援助の氾濫」は大きな課題であると指摘したうえで、広範囲の援助協調や、欧州の国内政治と財政支援の関連性などについての質問を提示しました。
セッション2では、ライダラー氏が再び登壇し、「Fungibility and the Choice of Aid Modalities」のテーマで発表を行いました。ライダラー氏は、援助形態には3つの型、プロジェクト型支援(Project Aid)、 一般財政支援(Budget Support)、新しい援助形態である結果重視の支援(Aid on Delivery/Results-based Aid)があることを紹介し、それぞれの利点、取引コスト、信託リスクについて理論を用いながら比較しました。結論として、信託リスクはどの援助形態においても変わらないことを指摘しました。
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会場の様子(セッション2) |
セッション2の最後に、細野SRAは、援助形態と援助効果に焦点を当て、ライダラー氏の新しい援助形態に注目しながら、結果重視の援助形態の課題について述べました。また、一般財政支援、プロジェクト型支援、結果重視の支援のそれぞれの利点を生かし、かつ欠点を補いながら、インクルーシブで持続性のある開発目標を設定する重要性を指摘しました。
最後に、加藤宏研究所所長は、セミナー閉会の挨拶で、「援助の氾濫」というテーマの中で、開発協力、援助効果といった課題は今まで政治的な側面で議論されてきたことを踏まえ、今回、DIEとの共同研究で、学問的だけでなく実証的に研究成果を発信する機会を得られたことを評価しました。
【関連リンク】
* JICA研究所、ドイツの研究機関と初の人事交流を実施
開催情報
開催日時 | 2014年2月21日(金) |
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開催場所 | JICA市ヶ谷ビル |