JICA緒方研究所

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日本の援助の再評価へ:「Japan's Development Assistance」発刊

2015年12月14日

JICA研究所の取り組みなどをもとに、日本のODAの歴史を振り返る英文書籍「Japan's Development Assistance - Foreign Aid and the Post-2015 Agenda -」が2015年11月、Palgrave Macmillan社から発行されました。

 

日本が建設に協力したカンボジアの「つばさ橋」
日本が協力したカンボジアの「つばさ橋」
(写真:久野真一/JICA)

今年2015年にミレニアム開発目標(Millennium Development Goals: MDGs)が達成期限を迎え、同年9月国連サミットで持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)が採択されました。また、同年末のCOP21では気候変動への新しい枠組みが議論されました。このように、2015年という年は、変わりゆく開発課題の捉えなおしと、それらへの取り組みのあり方が問われた大きな節目の年になりました。本書は、そのようなタイミングをとらえて、日本のODAの歴史を振り返りつつ、これからの日本の国際協力が果たすべき役割を問うという問題意識のもとに出版されました。

 

編者は、加藤宏JICA理事(元JICA研究所所長)、John Pageブルッキングス研究所上席フェロー、下村恭民法政大学名誉教授の3人が務めました。

 

ODAは「第二次世界大戦後の日本の外交政策の主要で、おそらくは最も重要な手段」(田中明彦前JICA理事長)としての役割を果たしてきました。本書は、そのODAの果たしてきた歴史について、網羅的な振り返りを意図しています。特に、戦後の全歴史を通じて、二国間援助と多国間援助の双方を取り上げたこと、NGOを含む開発援助の実務家の視点に加えて研究者の視点からの分析も含めたこと、そして日本だけでなく、欧米やアジア、アフリカの著者による分析も収録しているところにその特徴があります。

 

終章のまとめのなかで、3人の編者は、日本の援助の歴史からは2つの重要な価値観がみえるといいます。一つは、「相手国への信頼」であり、もう一つは、「自助努力(援助相手が援助から卒業していくこと)を促す」です。そして、この2つの価値観は、発展途上国がより強くオーナーシップ(主体性、自己決定権)を求める傾向が強まるなかで、さらに重要になってきていると指摘しています。

 

加藤理事は「日本のODAを多角的に論じた本書をぜひ多くの人に読んでいただき、これからの国際協力のあり方についての議論の素材としてほしい」と話しています。

 

書籍内容の詳細については、下記リンクより刊行物のページをご覧下さい。

<外部サイトの関連リンク>

Palgrave Macmillan

 




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