AUDA-NEPAD/JICA緒方研究所共催ウェビナー「TVETにおける産学連携: 東南アジアの経験 −東南アジア諸国はどのように海外の技術教育モデルを学び現地化したか−」

掲載日:2024.01.10

イベント |

イベント内容

2022年4月、アフリカ連合開発庁(African Union Development Agency-New Partnership for Africa's Development: AUDA-NEPAD)とJICA緒方貞子平和開発研究所(JICA緒方研究所)は、相互の知的パートナーシップの強化を目的とした協力の一環として、2冊の書籍出版記念セミナーを共催しました。

1.『Policy Learning for Industrial Development and the Role of Development Cooperation』「翻訳的適応」を軸にこれからのアフリカの工業化と発展を考える—AUDA-NEPADとJICA緒方研究所が書籍出版記念オンラインセミナーを共催 - JICA緒方研究所)

2.『Promoting Quality and Productivity Improvement/ Kaizen in Africa』 (カイゼンを鍵にアフリカの産業を変えていく—AUDA-NEPADとJICA緒方研究所が書籍出版記念オンラインセミナーを共催 - JICA緒方研究所)

こうしたベストプラクティスに関する情報共有と知識普及に向けた協力を継続するため、AUDA-NEPAD Policy Bridge TankとJICA緒方研究所は、産業人材育成に焦点を当てたウェビナーを共催します。

労働市場の需要に合った人材の育成は、多くの国々、特に若者の雇用が重要課題となっているアフリカ諸国にとって、きわめて優先度が高い事項です。日本は開発途上国の産業人材育成の支援に豊富な経験を持ち、産学連携のための TVET (Technical and Vocational Education and Training:職業技術教育・訓練)機関の能力開発もその一例として挙げられます。

これを踏まえて、JICA 緒方研究所の研究に基づき、東南アジアの二つの事例として、(1)ベトナムでの産学連携の促進、(2)タイでの産業技術の学習と現地化の取り組みを紹介します。これらの事例は、最近出版された書籍『Introducing Foreign Models for Development: Japanese Experience and Cooperation in the Age of New Technology 』(Springer)に収録されています。

アフリカの若者のために生産的な雇用の機会を創出することは非常に重要であり、本ウェビナーのディスカッションへの皆さまのご参加を歓迎します。東南アジアの経験がアフリカの産業発展に向けた有用な示唆を提供し、実践的な知識の共創に貢献することを期待します。

プログラム

1. 開会あいさつ
Pamla Gopaul
Lead Coordinator, Economic Analysis and Foresight Unit, AUDA-NEPAD

2.プレゼンテーション:TVET における産学連携(ベトナムの事例)
森 純一
前 国際労働機関(ILO)マレーシアSkills for Prosperity プログラム・チーフテクニカルアドバイザー

プレゼンテーション:産業技術と「ものづくり」教育の学習と現地化(タイの事例)
大野 泉
政策研究大学院大学教授、JICA緒方研究所シニア・リサーチ・アドバイザー

3. モデレーターによる導入「東南アジアの経験とアフリカ開発をつなぐ」
本間 徹
AUDA-NEPAD CEOシニア・アドバイザー、JICA国際協力専門員(民間セクター開発)

ディスカッサントからのコメント1
Arhin Acheampong
Deputy Director、Afro-Sino Centre of International Relations

ディスカッサントからのコメント2
Unami Dube
Senior Programme Officer -Institutional Development, Human Capital & Institutions Dev. Prog., AUDA-NEPAD

4. ディスカッション、質疑応答

5.閉会あいさつ
山田 実
JICA管理部次長(元JICA緒方研究所上席研究員)

プレゼンテーション テーマ 1:TVET における産学連携

森氏は、ハノイ工業大学(Hanoi University of Industry: HaUI)の事例を通じて、ベトナムでの産学連携システムの発展について考察します。TVET における産学連携の重要性は広く認められており、「ベストプラクティス」モデルが世界各地で推進されています。しかし、各国に適した実行可能な方法をどのように構築・制度化すればよいかは、まだ明確ではありません。森氏のプレゼンテーションでは、HaUI がどのように外国モデルを学び、現地化しながら導入したか、その方法を分析します。HaUI は、産学連携に関するさまざまな外国モデルを研究した後、自らの能力と産業界からの支援の程度を考慮し、日本の研修プロセス管理手法を選択しました。ただし、翻訳的適応は動態的プロセスであるため、HaUI は現行モデルを変革し続けると考えられます。森氏は、HaUIによる日本モデルの翻訳的適応を可能にした 3 つの要因として、信頼構築、能力開発、関係者の強いオーナーシップを挙げています。また、HaUI の経験を全国レベルに拡大することへの課題についても説明し、学習と適応の段階における政府の不十分な関与がその一因であるとしています。

プレゼンテーション テーマ2:産業技術と「ものづくり」教育の学習と現地化に関する民間セクターの取り組み

大野氏は、日本式の製造業の学習と現地化を通じたタイにおける技術促進と技術教育の経験を分析します。特に、泰日経済技術振興協会(Technology Promotion Association: TPA)と泰日工業大学(Thai Nichi Institute of Technology: TNI)という二つの民間組織が果たした役割に注目します。TPAは、タイの人々と企業への日本の新しい産業技術の導入と普及を目的として、日本留学経験を持つタイ人学生や元研修生が中心となって1973年に設立されたNPOです。TNIは、2007年にTPAが設立した技術教育機関で、製造業やその他の産業に関する現場志向の実践的教育に重点を置いています。TPAとTNIは、産業界や広くタイ社会において、産業技術や技術教育、訓練を促進するための現地に合ったメカニズムづくりに成功しました。このプレゼンテーションでは、日本の産業協力の役割を含め、両組織の発展の成功要因についても考察します。また、デジタル化時代における工業化という新たな課題に対する最近の取り組みや、タイと日本のパートナーシップの質的変化についても触れます。

問い合わせ

JICA緒方貞子平和開発研究所(担当:金)
メール:dritrp@jica.go.jp

申し込み方法

こちら からお申込みください。
※2024年1月15日(月)正午に締め切らせていただきます。

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