書籍発刊セミナー「開発のための外来モデルの導入:翻訳的適応の視点と知識協力の国際的経験より」

掲載日:2024.04.10

イベント |

開催概要

外来の知識や技術を学ぶことは、経済の発展に欠かせません。さらに、そうした学習は、現地の実情に合わせて行われる必要があります。今日、開発途上国は、開発協力や海外直接投資などを通して先進的な知識や技術を国外から獲得する機会が豊富にあります。また、新興国が台頭する中で政策余地が広がっている上、伝統的なドナーに限らず、さまざまな国外のパートナーから知識を得ることもできます。その一方で、国によって学習の速度に著しい差があるため、経済発展の成果にも差が生じています。

それでは、開発途上国が自国に適した開発戦略を策定するための効果的な学びは、どうすれば可能になるのでしょうか?このほど発刊されたオープンアクセス書籍『Introducing Foreign Models for Development: Japanese Experience and Cooperation in the Age of New Technology 』では、日本の経験と、アジアやアフリカ、中南米で日本が実施してきた広範な開発協力の観点から、この問いにアプローチしています。同書籍はJICA緒方貞子平和開発研究所(JICA緒方研究所)の研究プロジェクト「日本の産業開発と開発協力の経験に関する研究:翻訳的適応プロセスの分析 」に基づき執筆されたものです。

同書が鍵としている概念は「翻訳的適応」です。これは、自国に適したモデルをつくり出すため、外来モデルを選択的に学習して現地の実情に応じて適応させることを指します。開発プロセスでは外来モデルをただコピー・ペーストでそのまま受容するのではなく、全面的に開発途上国の社会が主体的にかかわらなければなりません。開発パートナーが開発途上国による翻訳的適応のプロセスを念頭に置き、支援することも重要です。

本セミナーでは、編者らが同書の概要を紹介するほか、知識協力を専門とする国内外の有識者らが知見を提供します。経済の発展における学習と知識の共創に新たな視座と実務的な手法を提示するとともに、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)とデジタル化の時代において、この学習方法をどのように変更すべきか、あるいは変更すべきでないかを議論したいと考えています。本セミナーは知識協力における国際的な経験を共有し、21世紀の開発戦略を検討するための価値ある機会にもなると考えます。

プログラム

1. 開会あいさつ
2. 書籍紹介
3. 有識者コメント:知識の移転に関する国際協力の経験(ビデオメッセージも上映予定)
4. ディスカッションと質疑応答

登壇者

<開会のあいさつ>
細野昭雄  JICA緒方研究所 シニア・リサーチ・アドバイザー

<書籍紹介>
大野泉  JICA緒方研究所 シニア・リサーチ・アドバイザー(政策研究大学院大学 名誉教授)

神公明 JICA南アフリカ共和国QPI(カイゼン)プロジェクト チーフアドバイザー

<モデレーター>
森純一 ILO Skills for Prosperity Programme(マレーシア) 前チーフ・テクニカル・アドバイザー

<ディスカッサント>
Joonghae Suh, Senior Fellow Emeritus, Korea Development Institute (KDI)

Stephan Klingebiel, Head of Inter and Transnational Cooperation Research Program at the German Institute of Development and Sustainability (IDOS), Visiting Professor at the University of Turin and Ewha Womans University, Seoul

本間徹 アフリカ連合開発庁CEOシニア・アドバイザー、JICA国際協力専門員(民間セクター開発)

天津邦明  JICA九州 市民参加協力課長(予定)

<ビデオメッセージ>
Getahun T. Mekonen   Certified Kaizen Principal Consultant, Ethiopia

申し込み方法

以下のリンクより参加事前登録をお願いいたします。
2024年4月19日(金)12:00に申し込み受付を締め切らせていただきます。

問い合わせ

JICA緒方貞子平和開発研究所(担当:金)
メール:dritrp@jica.go.jp

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