細野所長が国連等で講演、「三角協力」の有効性を強調

2011.08.17

細野昭雄所長は7月27日~8月3日、米国のワシントンD.C.とニューヨークを訪問し、開発援助関係者が多数参加した国際会議やセミナーなどで講演を行い、JICAがこれまで取り組んできた「三角協力」*の有効性を強調しました。

7月30日にワシントンで開かれた「2011年度国際開発学会(SID)*世界大会」のテーマ別セッション「南の国々とのパートナーシップ」では、細野所長は「南南協力を通じたイノベーション促進」(PDF) のテーマで発表しました。細野所長は、研究開発活動(R&D)のほとんどが先進国で行われている現状を指摘。具体例として、JICAの協力による、途上国の実情に合った技術の開発の事例や、「道路が狭く小回りの利く小型車の開発を行った日本のメーカーとインドの企業の合弁によって生産された低価格の車が、日本と同じように道が狭いインドで広く受け入れられた」例などを挙げながら、“技術ギャップを埋めるアプローチ”ではなく、“貧困層のためのイノベーション”が重要であることを指摘しました。さらに、南南協力を単なる資源の移転ではなく、解決方法や知識、技術の創造のプロセスとして捉えるべきであるということを強調しました。

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SIDで発表する細野昭雄所長(左から2番目)

また続いて8月2日には、ニューヨークの国連本部の会議場で開かれた「国連南南協力講演シリーズ」において、「三角協力:イノベーションと南南協力への支援」(PDF) をテーマに講演しました。この講演会には、各国国連大使、国連諸機関幹部、NGO、大学、研究機関の関係者ら140人以上が参加し、南南協力・三角協力に多くの国連関係者が強い関心を示していることがうかがわれました。

講演後の質疑応答では、南南・三角協力における知識共有アプローチのあり方、公平さと持続可能性を確保するポイントは何か、南南・三角協力における民間セクターの役割などに係る質問が寄せられました。

これに対して細野所長は「南南協力によって受益国、そして貧困層を含めた受益者のニーズに合致した技術のイノベーションが実現すれば、そのイノベーション自体が変革へのブレークスルーとなり、さらにその新技術の受益者への波及がより持続的に進みうる。民間セクターを巻き込んだアジア-アフリカ間の三角協力の実例としては、日本が支援しているアジア・アフリカビジネスフォーラムがあり、両地域の民間企業者間の知識共有の場となってきている」など、具体例を示しながら応答しました。

*三角協力とは、一般に、先進国が比較的発展の進んだ途上国と共同で他の途上国に協力し、南南協力を支援することを指す。

*SIDは、米国で設立され、援助専門家の間で情報と経験を共有することを目指しており、事務局はイタリアのローマに置かれ、80カ国以上に支部がある全世界的なネットワークを持つ組織です。

ムービー・コメンタリー

細野昭雄 JICA研究所所長

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