JICA研究所、リオ+20でブラジル・セラード農業開発について発表  

2012.07.10

6月20日から22日の3日間にわたり、ブラジル・リオデジャネイロで「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」が開催され、国際連盟加盟188ヵ国から97名の首脳および多数の閣僚級が参加したほか、政府関係者、国会議員から市民社会を含めて約3万人が集まりました。リオ+20は、1992年にブラジル・リオデジャネイロで開催された「国連環境開発会議(地球サミット)」から20年、2002年の「持続可能な開発に関する首脳会議(ヨハネスブルグ地球サミット)」から10年を経て、環境保全と持続可能な開発を実現するための、世界各地における20年間に及ぶ取り組みの成果が討議されました。

本会合に関し、JICA研究所からは、細野昭雄研究所長、本郷豊客員専門員、島田剛企画課長、会田由貴子企画課職員が出席しました。最終日に開かれたJICA主催のサイドイベントでは、「持続的開発への教訓と世界への貢献:ブラジル・セラード農業開発」をブラジル国際協力庁(ABC)と共催しました。会場には、ブラジル政府関係者を始めとした約100名が参加し、活発な質疑応答が行われました。

堀江正彦地球環境問題担当大使は開会の挨拶で、日本が行ってきたODAの貴重な例として、セラード農業開発のプロジェクトヒストリーに関する書籍を手に取って紹介し、将来その英語版、ポルトガル語版の出版への期待を語りました。
また、本イベントの共催者であるブラジル国際協力庁(ABC)のマルコ・ファラーニ長官による挨拶では、「リオ+20で、日伯セラード農業開発協力の成功事例を紹介することは時宜を得ている。ブラジル政府の対アフリカ援助強化方針の中で、農業開発はその主要な柱ともなっていることから、セラード開発の経験をもとにモザンビークで進めている日伯モ・三角協力による熱帯サバンナ農業開発(ProSAVANA-JBM)においても、誠実な援助機関であるJICAとともに協働できることは喜ばしく、この事業を通じて、ブラジルは国際協力分野の経験を積むことができる」と述べました。

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メイン会場

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本セミナーでは、セラード開発に直接携わってきた関係者の生の声が紹介され、「持続的な開発と環境への配慮」をキーワードとする今後の開発援助のあり方が議論されました。
セミナー前半のセッション1では、セラード農業開発における日伯セラード農業開発協力事業(PRODECER)の役割について、ブラジル農牧研究公社(EMBPARA)淡水養殖研究所長(元EMBRAPA総裁)のカルロス・マグノ氏が説明し、カンポ社社長のエミリアーノ・ボテーリョ氏は、PRODECER成功の要因分析、世界の食糧増産への貢献、またブラジルにおけるバリューチェーンの創出を通じた地域格差是正への貢献などについて述べました。

後半のセッション2では、セラード開発と環境保全について、ブラジル環境・再生可能資源院(IBAMA)モニタリング部長のエドソン・サノ氏、ジャラポン地域生態系コリドープロジェクト・チーフアドバイザーの浅野剛史氏よりそれぞれ発表がありました。両氏はセラードの環境保全に関する取り組みの例として、衛星画像を使用した違法伐採の監視システム、また生態系コリドーの導入による地域生態系の保全など、適切な環境保護への取り組みがセラード開発に組み込まれていることに加え、ブラジルの努力とそれを支える日本により、環境へのリスクが最小化されてきたことにも言及しました。

セミナーの翌日には、本件サイドイベントに高い関心を持っていたモザンビーク農業大臣のホセ・パシェコ氏との会談が行われ、細野昭雄JICA研究所長、本郷豊客員専門員、室澤智史JICAブラジル事務所長から、パシェコ大臣にセラード農業開発に関する英文報告書が手渡され、大臣からは、受け取った報告書をアルマンド・エミリオ・ゲブーザ大統領に届けるとともに、ProSAVANA-JBM関係者で共有したいとの謝意が示されました。

JICA研究所は、ブラジル・セラード農業開発プロジェクトヒストリーの書籍を刊行しています。

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本郷豊客員専門員(左)と細野昭雄所長(中)、ホセ・パシェコ農業大臣(右)

関連ファイル

開催情報

開催日時:2012年6月20日(水)~2012年6月22日(金)
開催場所:ブラジル、リオデジャネイロ

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