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国連本部で書籍『SDGs and Local Communities: How to Create Human Security Indicators in Your Town !』についてのシンポジウム開催

2024.07.03

2024年5月8日、米国・ニューヨークの国連本部にて、2024年2月にJICA緒方貞子平和開発研究所(JICA緒方研究所)より翻訳・発刊された英文書籍『SDGs and Local Communities: How to create Human Security Indicators in Your Town!』に係るシンポジウムが開催されました。

本シンポジウムは、国連人間の安全保障ユニット(United Nations Human Security Unit: UN-HSU)、国連開発計画(United Nations Development Programme: UNDP)人間開発報告書室(Human Development Report Office: HDRO)、JICA緒方研究所の三者による共催で、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)の達成に向けたサブナショナルレベルの取り組みについて各国での理解を深める目的で実施され、JICA緒方研究所からは峯陽一研究所長が登壇しました。

人間の安全保障をめぐる活発な議論が行われたシンポジウム

冒頭、UNDP人間の開発報告書室のペドロ・コンセイソン室長のあいさつに続き、高須幸雄国際連合事務総長特別顧問が、同書籍をもとに「人間の安全保障は抽象的なコンセプトではなく具体的な手法であり、達成が危ぶまれるSDGsの推進のためには従来のやり方を超え、サブナショナルレベルで人間の安全保障に関する指標の達成状況を把握し、地域社会の優先度に対応する政策立案が重要である」と説明しました。

続いて、シエラレオネのSeraphine Wakana国連常駐調整官がオンラインで登壇し、SDGsのローカリゼーションの事例として、国際連合人口基金(United Nations Population Fund: UNFPA)によるプロジェクトを紹介しました。また、UNDP 人間の開発報告書室のHeriberto Tapia氏が、「人新世の時代では、気候変動により国家間の不平等が発生し分断が進む中、世界が団結して対応する必要があり、人間の安全保障は国際社会および地域の喫緊の課題に対応可能な手段である」と強調しました。

UN-HSUのMehrnaz Mostafaviユニット長からは、人間の安全保障トラストファンドの経験を踏まえたローカリゼーションの教訓として、包括的な分析、多面的なパートナーシップ、信頼と団結、エンパワーメントなどの重要性を指摘しました。

最後に峯研究所長が、JICA緒方研究所における人間の安全保障に関する研究の目的・成果について報告し、同書籍をもとに日本の事例を紹介しながら、ボトムアップのアプローチ、人間の尊厳への着目、人間の安全保障に関する指標の作成の重要性などを強調しました。

質疑応答では、各国代表部など40人の参加者からさまざまな質問があり、人間の安全保障をめぐる活発な議論が交わされました。SDGsの達成に向け、人間の安全保障の考え方に基づいたアプローチをどのように生かしていくことが必要か、またそれを受け、サブナショナルレベルでの指標の達成状況の把握と地域の課題の優先度に応じた取り組みの重要性について、国際場裡で改めて議論を深める機会となりました。

同シンポジウムの録画や発表資料は、以下のリンクからご覧いただけます。

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