カンボジアでのエビデンスに基づく政策立案(EBPM)促進に向けたシンポジウムをJICA緒方研究所が共催
2025.05.26
2025年3月28日、JICA緒方貞子平和開発研究所(JICA緒方研究所)は、貿易政策諮問委員会(Trade Policy Advisory Board: TPAB)、カンボジア国立銀行(National Bank of Cambodia: NBC)、カンボジア経済学会(Economic Society of Cambodia: ESC)との共催により、「カンボジアの経済発展と経済政策:機会と課題」というテーマの下、プノンペンの銀行研究所にて合同シンポジウムを開催しました。
「カンボジアの経済発展と経済政策:機会と課題」というテーマで開催された合同シンポジウム
このシンポジウムには、最高国家経済評議会上級顧問であるMey Kalyan氏、NBC Assistant GovernorのKhou Vouthy氏、JICAカンボジア事務所次長の三浦佳子氏、TPAB事務総長のNorn Samnangseymony氏のほか、カンボジア首相府などの政府省庁、国際機関、大使館、学会、開発銀行、若者グループ、民間セクターなどから約200人が参加しました。
NBC Assistant Governor兼Policy& International Cooperation局長のKhou Vouthy氏
開会のあいさつは、上級大臣でありTPAB議長、かつESC議長でもあるSok Siphana氏が行いました。同氏は、研究成果を発表・共有する場の重要性を強調し、カンボジアの将来の経済政策を形作る活発な議論への期待を示しました。日本がカンボジアの発展に果たしてきた多大な貢献に敬意を示し、両国間の強固な二国間関係の重要性を強調しました。
シンポジウムでは、3つの主要な研究発表が行われました。NBCに派遣されているJICA専門家でもあるJICA緒方研究所の相場大樹 客員研究員は、2017~2021年の間の5,300件以上のマイクロファイナンス融資の分析や、日本の伝統的な家計管理手法「家計簿」を用いた金融教育プログラムの実験研究などから、カンボジアの金融包摂に関する包括的な研究成果を発表。インパクト投資家は一般的な投資家と異なり、より多くの人々にリーチできるマイクロファイナンス機関(Microfinance Institutions: MFI)を支援する傾向にあり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)危機の間もMFIへの投資を維持していたことを説明しました。また、家計簿を活用した金融教育プログラムには、肯定的な影響が確認されたことも触れました。最後に、相場客員研究員は、厳密な研究が経済政策に有用かつ影響力を持ち得ることについても言及し、カンボジアでの研究活動がさらに活性化され、政策に反映されていくことへの期待を示しました。
発表したJICA緒方研究所の相場大樹客員研究員(NBC駐在JICA専門家 )
続いて、CAPRED上級政策顧問でありTPAB専門家グループメンバーでもあるOum Sothea氏が、中小企業が貿易協定を活用するための能力強化に関する発表を行いました。さらに、NBCのエコノミストであるCheng Oudom氏は、カンボジアの金融政策の波及メカニズムに関する研究を発表しました。Oudom氏が発表した研究は、現在JICAがNBCに対して実施している技術協力プロジェクト「カンボジア国金融政策のための経済分析・調査・運営能力強化」の成果の一部でもあります。
研究発表の後には、「後発開発途上国(Least Developed Country: LDC)卒業に向けたカンボジアのマクロ経済展望」というテーマでパネルディスカッションが行われました。パネリストは、税務総局副総局長のBun Neary氏、Institute of Banking StudiesのPhon Sophat教授、Institute For International Studies and Public Policyの国際経済学部長であるCheng Savuth氏、NBC上級エコノミストのMon Srey Leak氏が登壇し、JICA緒方研究所のSamreth Sovannroeun 客員研究員(埼玉大学教授)がモデレーターを務めました。「カンボジアはLDC卒業後に向けて、税制と行政による国内資源動員をどのように強化できるか?」「現在の金融政策・安定政策はLDC卒業後の変化に対応できるのか?」「LDC卒業による国際経済への影響とは何か?」「今後、グローバル・バリュー・チェーンにおけるカンボジアの立ち位置はどうあるべきか?」といったさまざまな論点が議論されました。
右から:パネルディスカッションでモデレーターを務めたSamreth氏(JICA緒方研究所客員研究員/埼玉大学教授)、Mon Srey Leak氏(NBC上級エコノミスト)、Bun Neary氏(税務副総局長)、Phon Sophat氏(NBC Institute of Banking Studies教授)、Cheng Savuth氏(Royal University of Phnom Penh教授)
閉会のあいさつでは、首相府国務長官でありESC理事でもあるHout Pum氏が、今後の研究協力と機関横断的な対話の重要性を改めて強調しました。
本シンポジウムは、JICAがカンボジアにおいて進める、包摂的かつエビデンスに基づいた政策対話と能力開発の推進に貢献するものとなりました。
このシンポジウムは、カンボジアのメディアで紹介されました。以下からご覧になれます。
事業事前評価表(地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS)).国際協力機構 地球環境部 . 防災第一チーム. 1.案件名.国 名: フィリピン共和国.
事業事前評価表(地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS)).国際協力機構 地球環境部 . 防災第一チーム. 1.案件名.国 名: フィリピン共和国.
事業事前評価表(地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS)).国際協力機構 地球環境部 . 防災第一チーム. 1.案件名.国 名: フィリピン共和国.
事業事前評価表(地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS)).国際協力機構 地球環境部 . 防災第一チーム. 1.案件名.国 名: フィリピン共和国.
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