『Introduction to Quality Growth: Concept, Theoretical Background, Policy and Measurement』
JICA緒方研究所について
JICA緒方研究所について
本書でとりあげる「質の高い成長(quality growth)」とは、生産や所得の拡大で表される一般的な成長の概念を超え、包摂性・持続可能性・強靱性といった側面も成長を構成する要素と捉え、これらを統合した全体を大きくしていこうとするアプローチです。この概念は、日本の「開発協力大綱」において重点政策のひとつとして位置づけられており、国際協力機構(JICA)は、人間の安全保障と並び、「質の高い成長」を開発途上国との協力における中核的使命として掲げています。
本書は、「質の高い成長」アプローチの背景にある理論とその政策を明らかにすることを目的としています。具体的には、包摂性・持続可能性・強靱性とは何を意味するのか、それらは経済成長とどのように関連しあうのか、「質の高い成長」はどのように測定できるのか、そして、それをいかに具体的に実現することができるのか、といった問いかけに答えていこうとしています。本書は、経済理論の観点に加え、ウェルビーイングなどの指標に関する国際的な議論も踏まえつつ、この概念を包括的に検討しています。
本書は、このように「質の高い成長」という概念を構成する3つの柱―理論的背景、実現のための政策、その測定―を明らかにすることを目的としていますが、さらに、インドネシア、ベトナム、ペルー、コスタリカ、マダガスカルを事例として取り上げ、それぞれの発展を「質の高い成長」の視点から評価しています。理論と政策、指標、ケース国の分析を統合することによって、本書は包括的に「質の高い成長」アプローチに取り組み、開発協力の分野での議論の深化に貢献します。
本書は、JICA緒方研究所の研究プロジェクト「質の高い成長にかかる研究」の成果です。