Migration, Living Conditions, and Skills: A Panel Study - Tajikistan, 2018
JICA緒方研究所について
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中央アジアの最貧国タジキスタンの経済は、海外で出稼ぎをする労働者からの送金に大きく依存しています。2006年以来、タジキスタンの全世帯のうち、約5分の2の世帯には海外で働く家族が少なくとも1人おり、そうした出稼ぎ労働者からの送金が同国のGDPの30~50%を占めています。こういった状況下で効果的な開発政策を進めるためには、出稼ぎ労働者とその家族が直面する問題や現状を理解することが非常に重要です。
JICA研究所の研究プロジェクト「フィリピンとタジキスタンの家計における海外送金に関する研究」では、タジキスタンの政策形成や移民と送金に関する国際開発の議論に新たな知見を提供することを目指し、2013年に世界銀行が実施した調査をパネル化する形で2018年に全国規模の家計調査を行いました。
本報告書は、その調査データとフォーカスグループディスカッションによるエピソードを概説し、「移住サイクル」、「移住コスト」、「移住と技能」、「送金」の4つのテーマについて議論しています。編者らは、「海外送金は極度の貧困と世帯間の所得格差を削減する重要な推進力の一つではあるが、これまでタジキスタンでの起業家活動や事業開発には結び付いていない」と結論づけ、地域や国レベルで起業家活動を推進する新たな政策の必要性を訴えています。
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