The Dynamics of the Republic of Serbia’s Cooperation with China via the Belt and Road Initiative and the “Sixteen plus One” Platform
JICA緒方研究所について
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本論文は、セルビア共和国に焦点を当てつつ、中東欧にある小国「16ヵ国」と中国との間に活発な二国間関係が新たに構築される上で、どのような要因が決定的な役割を果たしたかを考察しています。特に、セルビア共和国におけるローカルアクターの能力と、中国のイニシアティブへの支持につながった主な要因を調査しています。中国と16カ国の新たな協力関係の幕開けは、中国の一方的なイニシアティブによるものでした。16ヵ国は、世界的な経済危機の影響に対して脆弱であり、またEU加盟国にもかかわらずEUから距離を置かれていました。そのため、彼らの製品や投資の中国市場へのアクセスを中国が約束したことは魅力的に映りました。1990年代の内戦とユーゴスラビア解体によって深刻な影響を受けたバルカン諸国の状況はさらに厳しく、EUからの実質的な開発援助も多くは受けられていませんでした。こうした国内の経済的要因と政治的な要因が主となり、中国のイニシアティブに関与する意欲を起こさせました。セルビア共和国の場合には、平和と安全保障に関する大きな課題もありました。さらには国際関係に起因する要因もあり、開発援助プロジェクトの件数と規模の拡大や、対象国に対する中国の政治的な影響力の増大に伴って、大国間の対立がますます顕在化しました。
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