How Does the Development Frontline View the Major Powers? A Perception Survey Toward China in Zambia
JICA緒方研究所について
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一般的に、外国に対する意識調査は、分析段階で一貫して教育レベルが高い都市住民に焦点を当てる傾向があります。それは国内政治と国際政治に影響を与える存在という点で、より重視されているためです。本論文では、そうした従来の意識調査にとは異なり、開発の現場にいる人々に焦点を当てることを試みました。ザンビアで長年実施されてきた中国による鉱山開発プロジェクトの現場近くで生活する人々の中国に対する認識と、彼らがこの地域の開発についてどう考えているかを明らかにすることを目的としています。具体的には、長期にわたり鉱山開発が行われてきたカッパーベルト州チャンビシにて、さまざまな社会グループに対する意識調査と、フォーカスグループインタビューを実施しました。その結果、「開発の現場に住む地元の人々」の意識と、「都市部の教育レベルが高い人々」の意識との間には違いがあり、その根底にある要因が明らかになりました。調査結果からは、中国に対する人々の認識が複雑に入り組んでいることが分かります。中国が主導する開発の現場にいるチャンビシの住民たちは、中国に対して好意的な認識を抱いており、ザンビアの発展には中国が不可欠であると強く意識していました。その一方、中国に対する好感度が高いからといって、心理的に中国を身近に感じているわけではありません。住民はこの地域に対する中国企業の多様な貢献を評価はしているものの、中国が同地域の鉱物資源から得ている利益と比べると、その貢献は「不十分」だという思いを強く抱いています。
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