インドネシア人海外就労希望者におけるアスピレーションとケイパビリティの共同構築―集落コミュニティの役割―
JICA緒方研究所について
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国際労働移動研究では社会的ネットワークの重要性が指摘されてきましたが、地域コミュニティが移動主体の形成にいかに関与するかは十分に理論化されているとは言えません。本研究は、インドネシアの集落コミュニティに着目し、海外就労希望者のアスピレーションとケイパビリティが個人ではなく、空間的・象徴的実践を通じて共同構築される過程を明らかにします。フィールドワークと半構造化面接の分析から、家族中心的価値観や住宅の象徴性、言語・非言語による情報共有がアスピレーションを形成し、費用調達や仲介機関の情報、渡航準備リテラシーがケイパビリティを支えていることが示されました。これらの知見は、移動を個人や家族の選択として捉えてきた既存理論を拡張し、アジア的文脈における「共同構築された主体性」という理論的視座を提示します。