『世界開発報告書(WDR)2011:紛争・安全保障・開発』参考ペーパー

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『世界開発報告書(WDR)2011:紛争・安全保障・開発』参考ペーパー

世界銀行は世界開発報告書「World Development Report (WDR)2011」で暴力と脆弱性の問題を取り上げました。1990年代を境に国家間紛争や内戦が減少する一方で、15億人に上る人々が今なお、政治的問題が原因の暴力や、近年増えつつあるテロリズムなどの新たな脅威、さらには暴力組織による暴行行為など暴力の恐怖にさらされながら生活している、と同報告書は訴えています。さらに、度重なる暴力の連鎖が国家・地域の発展の足かせになっているとして、正統性のある統治機構とガバナンスの強化とともに、「市民の安全保障、司法制度、雇用」を確保することが重要であると主張しました。 

JICA研究所は同報告書の制作過程の当初から関わってきましたが、主な貢献としては、同研究所の論文2本がWDR2011の参考ペーパーとして提供されたことが挙げられます。その論文の一つが、恒川惠市前所長(現シニア・リサーチアドバイザー)と吉田耕平前リサーチ・アソシエイト(RA)の執筆による、「State-Building, Economic Development, and Democracy: The Japanese Experience [国家建設・経済開発と民主主義:日本の経験から]」です。本論文は、日本が明治維新以後、第二次世界大戦を経て、どのようにして民主主義国家へ移行し経済大国となったのかを解明しています。二つ目は、「Top Down and Bottom Up State-building in Fragile Situations: Japanese Aid Experience in Cambodia and Afghanistan [脆弱な状況下でのトップダウンとボトムアップの国家建設:カンボジアとアフガニスタンにおける日本の援助経験から]」と題された論文です。本論文は、室谷龍太郎RAとその研究チームが発表したJICA研究所ワーキングペーパーNo.5に修正を加えたもので、ここではアジア諸国における日本の援助経験が紹介されています。

発行年月
2011年4月
開発課題
  • #平和構築
研究領域
経済成長と貧困削減
研究プロジェクト