終了プロジェクト
本研究は「COVID-19研究:ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)と強靭な社会に向けて」の分担研究として実施している研究です。
2019年末に発生したCOVID-19の世界的な感染拡大禍の下、病院は院内感染のリスクに脅かされています。この対応のために世界保健機関(WHO)や感染症専門機関などがさまざまなガイドラインやマニュアルを開発し公開していますが、実際の現場で具体的に役立つ情報、事例に関する情報は十分ではありません。
日本においては以前より病院における感染症対策が進められており、病院ごとに感染症専門医を中心とする感染対策チームの設置やマニュアルの整備などが進められてきました。しかし、2020年3月の台東区の病院での国内で最初の大規模な院内感染発生以来、100%予防することや院内での実践的な感染拡大対応の難しさが改めて浮かび上がってきています。
本研究では、国内で大規模な院内感染を起こした台東区、旭川市、戸田市の3病院を取り上げ、公開されている情報を基に、①運営、②感染の実態把握、③感染拡大防止対策の3つの視点から考察します。本研究によって、院内感染拡大の予防や短期間での収束のために、早期の院内感染の検知・特定の重要性、職員間感染の注意喚起、現場での実践的な研修など基本的な対策の強化に加え、地域保健行政による各種専門家の技術的支援や転院調整などが重要であることが示唆されました。
本研究から導き出された教訓は、開発途上国における感染症対策と地域医療強化の在り方にも有益な示唆を与えることが期待されます。
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