実施中プロジェクト
戦後の国際社会は、国家間の信頼関係を基盤として構築されてきました。国家間の信頼は、互いの主権を尊重する多国間主義に基づく現代の国際秩序を支えており、その欠如は、安全保障、貿易活動や人的交流、あらゆる社会経済活動に深刻な影響を及ぼします。政府開発援助(Official Development Assistance: ODA)は、その信頼を育む上で重要な役割を果たしてきました。
近年、新興国の台頭と先進国の経済的後退に伴う各国の自国重視の動きを背景に、ODAは援助国にどのような利益や価値をもたらすのかが問われています。これまでのODA研究においては、開発途上国の開発成果や社会的変化に焦点が当てられており、援助国にとってのメリットである二国間の信頼関係や自国に有効なネットワーク構築などについては副次的な検討しか行われていませんでした。国際秩序が大きくゆらぐ今日、ODAがもたらす国際社会への利益・価値を改めて評価することが必要とされます。
本研究は、援助国と被援助国それぞれにおいて、ODAがどのように人々から認識されてきたか(レピュテーション)を分析することにより、ODAが国家間の信頼やそれを通じた長期の信頼関係構築にどのように貢献してきたかを考察し、未来への示唆を導き出すものです。より具体的には、援助国の国民のODAに対する認識とその特徴や要因・結果、被援助国における各国のODAおよび援助国に対する認識と各ドナーの援助特性がどうそれに作用しているかなどを、サーベイ調査やメディア分析などの手法で多角的に比較検討することにより、ODAの在り方や認識の向上に資することを目指します。