jica 独立行政法人 国際協力機構 jica 独立行政法人 国際協力機構

実施中プロジェクト

ブラジルへの戦後工業移住に関する研究

ブラジルには世界最大の日系社会が存在し、同国には約270万人の日系人が暮らしています。日本人のブラジルへの移住は1908年に始まり、1924年に国策化されました。その後、第二次世界大戦中にいったん途絶えましたが、戦後、国策移住は1954年に再開され、1993年まで続けられました。

戦後期におけるブラジルへの移住政策の一つの特徴は、戦前から続く農業移住に加え、工業移住という新たな形態が存在したことです。本研究プロジェクトでは、これまで十分な先行研究が行われてこなかった工業移住に焦点を当てた研究を実施します。

1961年に工業移住制度が開始されるまで、ブラジルへの日本人移住は、ほぼ農業移住に限定されていました。移住行政による工業移住の斡旋開始後も、農業移住に比べると社会の注目を集めず、それゆえ調査や研究も十分に実施されてきませんでした。工業移住は歴史に埋もれ、「忘れられた海外移住」となってしまう可能性が懸念されます。

よって、本研究プロジェクトでは、ブラジルへの工業移住に光を当て、なぜ工業移住制度が存在したのか、そしてなぜ日本の技術者たちが移住を決意したのかについて分析します。また、工業移住を通じたブラジル経済と日本人移住の関係性について明らかにすると共に、工業移住における(前身組織を含めた)JICAの役割についても分析します。

歴史学を中心としつつ、移民史、経済史、国際関係史などの分野にもまたがる総合的な歴史研究を目指し、国内外での一次資料の調査や聞き取り調査を通して、史料分析およびオーラルヒストリーを組み合わせた実証的な歴史研究を行います。

研究領域
開発協力戦略
研究期間
2025年03月27日 から 2027年03月31日
主査
田中 秀一
関連地域
  • #アジア
  • #中南米
開発課題
  • #民間セクター開発
  • #日本の開発協力
  • #人の移動と難民