技術協力プロジェクト「包蔵水力データベース化支援プロジェクト」を開始!
そしてクリーンに


2025.06.13
2025年6月9日、国際協力機構(JICA)は、フィリピン共和国エネルギー省(Department of Energy:DOE)との間で、フィリピンの再生可能エネルギー政策に資する技術協力プロジェクト「包蔵水力(※1)データベース化支援プロジェクト」について、討議議事録(Record of Discussions:R/D)(※2)に署名しました。これにより、3年間の実施を予定しているプロジェクトが本格的に開始され、個別専門家の派遣やDOE職員の能力向上に資する研修等が実施される予定です。本プロジェクトは、100MW以上の水力発電の容量を持つ、潜在的な貯水池や揚水発電(※3)サイトの開発が促進されることを目指します。
DOEは、フィリピンエネルギー計画2023-2050(PEP)において、フィリピンにおける総電力量に占める再生可能エネルギーの割合を2030年までに35%、2040年までに50%に引き上げることを目標としています。太陽光や風力と並び、水力は持続可能な再生可能エネルギーとして重要視されており、PEPの目標を達成するためにも重要な役割を果たすことが期待されます。
フィリピンにおける揚水発電事業については、日本企業が得意とする技術の導入等が見込まれ、日本企業も関心が高い分野の一つです。また、JICAは過去に100KW~10MWの包蔵水力を調査する「水力発電資源インベントリー調査」を実施していますが、今回は容量の大きな包蔵水力のデータベース化支援により、再生可能エネルギー分野における更なる支援を目指します。加えて、再生可能エネルギーの割合を増やす政策に資する本プロジェクトは、気候変動対策にも貢献するものとも考えられ、JICAが2025年3月にフィリピン政府と貸付契約を締結した円借款事業「気候変動対策プロジェクト・サブプログラム2」で定められた成果への貢献も期待されています。
本プロジェクトは、フィリピンにおける将来的なエネルギー投資や、政策決定のための貴重なデータベースとなり、フィリピンにとって包括的かつ持続可能なエネルギーの一つとなることが期待されるとともに、日本の技術の海外展開のための土台作りへの貢献の一つとしても期待されます。
DOE大臣(左)とJICAフィリピン事務所長(右)の署名式の様子。
関連リンク:
フィリピン向け円借款貸付契約の調印:フィリピンの気候変動対策・SDGs達成への協力を通じ、日比両国の関係深化に貢献 | ニュース・広報 - JICA
フィリピン共和国 水力発電資源インベントリー調査ファイナルレポート. -
備考:
※1:包蔵水力とは、水資源の中でも、技術的・経済的に利用可能な水力エネルギー量のこと。
※2:討議議事録とは、技術協力プロジェクトの実施に際し、JICA と被援助国実施機関の間で確認・合意した事項を取りまとめたもの。
※3:揚水発電とは、水をくみあげ、その水を落下させることで発電する方式の電源(電気をつくる方法)のこと。詳しくは、資源エネルギー庁の外部リンクをご覧ください。⇒電力のピンチを救え!大活躍する「揚水発電」の役割とは?|エネこれ|資源エネルギー庁
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