草の根技術協力事業の対象分野

事業対象分野

草の根技術協力事業は、以下の3つの要素を満たした活動であることが必要です。

(1)日本の団体が主体的に行う「技術協力」であること
草の根技術協力事業で実施が認められる活動は、以下の3点です。
1)開発途上地域に対する技術協力のための人員の派遣
2)開発途上地域に対する技術協力のための機材の供与(支援型は対象外)
3)開発途上地域のカウンターパート等に対する技術研修の実施

(2)相手国側実施機関(カウンターパート)との協働であること
(3)開発途上国の地域住民の生活改善・生計向上に裨益すること

本事業では、持続可能な開発目標(SDGs)への貢献及び「JICAグローバル・アジェンダ」との整合性の観点から、特に以下に合致する事業を審査において重視します。

社会経済的に脆弱な国・地域(アフリカ、後発開発途上国(LDCs)等)において「農業・農村開発」、「保健医療」、「栄養」、「教育」、「社会保障・障害」、「ジェンダー平等と女性のエンパワメント」等に関して提案団体が有する技術、経験、知見を活かし、開発途上国の脆弱な人々・コミュニティの生活改善、生計向上につながる事業や、住民に対する公共サービスの向上を目指す事業。

なお、各開発途上国には日本政府の援助重点分野が設定されており、提案事業はこれに合致していることが必要です。提案内容を検討の際には、外務省ウェブサイトにある「国別開発協力方針・事業展開計画」を参照ください(一部未作成の国もあります)。

JICAグローバル・アジェンダについて

JICAは、「人間の安全保障」「質の高い成長」の実現というミッションの下に、SDGsのProsperity(豊かさ)、People(人々)、Peace(平和)、Planet(地球)という4つの切り口から20の事業戦略「JICAグローバル・アジェンダ」を設定しました。この「JICAグローバル・アジェンダ」に基づき、開発途上国の政府・人々はもちろん、国内外の様々なパートナーと協働してグローバルな課題解決に取り組み、人々が明るい未来を信じ多様な可能性を追及できる、自由で平和かつ豊かな世界の実現を目指しています。

外国人材受入・活躍支援枠について

開発途上国の住民の生活改善、生計向上の一環として、当該国からの労働者の適正な受入れやこれら労働者の当該国・日本国内の活躍の促進に向けた1)政策・制度の整備・運用、2)人材育成、3)組織的・人的ネットワーク構築・強化を重視する提案については、「外国人材受入・活躍支援枠」として、通常案件とは異なる視点で審査します。詳細は募集要項をご確認ください。

草の根技術協力事業の対象とはならない分野

以下に記載の事業は対象外となります。草の根技術協力事業は、提案団体の経済的利益に関わりなく行われる活動である必要があり、特に現地住民の利益と相反するような自己の経済的利益の追求は認められません。

(1)「技術協力」とは認められない事業

施設建設や資機材等の調達・輸送等を中心とし、かつ、それらが有効活用されるための技術移転活動が含まれておらず、現地における自主的・自立的な運営管理・持続的活用が見込まれない事業

(2)開発途上国住民の生活改善・生計向上に結びつきにくい事業

1)共同調査・研究・データ収集・技術開発・実証・試験的(パイロット)事業
2)技術移転先が大学関係者や研究施設の職員、省庁の高官等に限られる場合や、技術移転内容が高度に専門分化した技術・医療である場合等、地域住民に便益をもたらすとは認めにくい事業
3)開発途上国から来日している人・家族に対する教育活動等、受益者が日本国内に限定される事業(開発途上国から人を受け入れて研修を行う場合は、研修を受けた人が当該国に戻って提案事業の活動に従事することが条件となります)
4)文化交流・普及を目的とする事業(日本文化、芸術、スポーツ振興等)

(3)特定の団体・企業・個人の経済的利益を目的としているとみなされ得る事業

提案団体や共同事業体の構成員を含む、特定の団体や企業の自社製品・サービスの調達や提供等を通じ、経済的利益を得ることを目的としているとみなされ得る事業。また、事業対象国での活動が特定の団体・企業・個人のみの利益を目的としているとみなされ得る事業。

(4)提案事業の主要な業務を第三者に再委託する事業、または提案団体の役割が資金提供的な内容にとどまる事業

提案団体の主な役割が資金提供であり、主要な活動を他の団体へ再委託する事業や、提案団体の現地での技術協力活動への実質的な関与が薄く、提案団体が関わる意義が見えない事業。

ただし、翻訳・通訳、映像教材の撮影・編集、基盤整備等、活動に付随する業務を専門の業者に再委託することは可とします。

(5)個人に裨益する事業

学位や資格の取得を目指す人材の本邦への受入れ等、特定の個人に裨益すると考えられる事業。

(6)宗教活動・政治活動に関する事業や、軍部・軍人へ裨益する事業